〇会社概要と配当基準日
MS&ADインシュアランスグループホールディングスは三井住友系の損害保険会社で、「東京海上ホールディングス」「SOMPOホールディングス」と並ぶ3メガ損保の1社です。
傘下には主力の「三井住友海上火災保険」と「あいおいニッセイ同和損害保険」を有しています。
損害保険業界はこのほか「東京海上日動火災保険」「損害保険ジャパン」の4社で国内市場シェアの9割を占める寡占業界で、MS&ADインシュアランスGHDはそのうちの2社を保有していることになります。
同社の海外比率は30%ほどで、ASEANでは損保首位の地位を築いています。
また大型M&Aの実施により欧米へも進出しています。
同社は三井系、住友系、日本生命系統、トヨタ系統の企業が合併した企業のため、顧客基盤が厚いことも強みです。
MS&ADインシュアランスグループホールディングスの主要事業会社は三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険ですが、三井住友海上火災保険の方はメガバンク再編でさくら銀行(旧太陽神戸三井銀行)と住友銀行の合併がきっかけとなって2001年に三井海上火災保険と住友海上火災保険が合併して誕生しました。
2010年には当時のあいおい損害保険とニッセイ同和損害保険の2社と経営統合し、現在の持ち株会社が誕生します。
そのあいおい損害保険は自動車保険に強い損害保険会社2社が2001年に合併し、トヨタ自動車の出資を仰いで同社の関連会社となりました。
一方のニッセイ同和損害保険は文字通り日本生命保険の関連会社でした。
この2社は2010年に合併し、あいおいニッセイ同和損害保険となります。MS&ADインシュアランスGHDの株主には現在もトヨタ自動車と日本生命保険が存在しています。連続増配年数は12年です。
配当基準日:3月末
〇配当方針
利益の50%を基本に配当および自己株式取得による株主還元を行うとしています。
また普通配当の分については累進配当を明言しています。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:3兆8,436億円
自己資本比率:14.9%
時価総額は損害保険業界2位です。自己資本比率は金融業なのでこんなものでしょう。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



2024年3月に株式分割をしたので直近まで配当額が半端な数字になっています。EPSを見ると2022~2024年は儲かっていますね。配当性向はブレ幅はありますが2018年辺りから大体50%前後です。直近では利益が出たこともあり、40%程度に収まっています。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



20年間の配当金累計額は6%安定配当株を易々と上回ります。
ただし2025年3月期の増配額が55円と非常に高くなったため、平均値が上がったことでこの配当シミュレーションになった側面があります。
それでも毎年10円程度の増配をすると考えた場合、7%安定配当株を保有した場合と同等のパフォーマンスを見せてくれます。
〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価4,650円で6%安定配当株と大体同じ累計配当金額になります。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
まあ、ご覧の通りです。2024年から日銀の金利引き上げや損保業界の政策保有株売却など、株価にとって好材料が大量に出たためチャートはうなぎ上りです。しかし「比較込20年シミュレーション」でも述べたように、配当金額を大幅に増額したため、利回りは5.0%近くまで上昇しています。
〇総括
MS&ADインシュアランスグループホールディングスは国内3メガ損保の一角を占める損害保険会社グループで、傘下の三井住友海上火災保険は損保業界3位、あいおいニッセイ同和損害保険は同4位と、大手損害保険会社4社の内2社を保有しています。
またMS&ADインシュアランスGHDは世界の損害保険会社グループTop10圏内の事業規模を誇っています。
今後は海外事業・生保事業の拡大による分散の効いた事業ポートフォリオの確立や、AIを活用した新たなサービス・ソリューションの提供を目標としています。
配当は11年連続増配中で、2025年3月期も増配予定なので13年連続増配予定です。
過去10年のチャートでも書きましたが、直近の株価が上昇しすぎたために配当シミュレーションの金額も低く出ています。
ただ2025年3月期の大幅増配を無いものとして計算した場合でも、3,200円くらいで買えれば十分儲かる銘柄です。
加えて損害保険業界は寡占業界なので、価格設定もある程度自由がききます。
そうしたこともあって今後の業績も安定が見込めると考えております。


