〇3行で銘柄解説
・独立系の電炉大手鉄鋼メーカー
・利益率の高さと海外比率の高さが特徴
・利回り高し、減配少なしも記念配等の配当金かさ増しが多いのは注意
〇会社概要と配当基準日
大和工業は大手鉄鋼メーカーを中心とする持ち株会社で、独立系の電炉メーカーです。
電炉メーカーは高炉メーカー系統である日本製鉄系とJFE系、そして高炉メーカー系に属さないその他独立系に分かれますが、大和工業は独立系に分類されます。
また大和工業は持ち株会社で、事業は子会社であるヤマトスチール等が行っております。
主な事業は鉄鋼事業、重工事業、軌道用品事業の3つで、同社の特徴として米国やタイ、ベトナムなど、世界各地で事業を展開しています。そのため売上高に占める海外比率は約8割と高めです。またシェアにおいても重工分野では日本で、鉄鋼分野では海外各地で高シェアを誇っております。また売上高に占める利益率が高いことも特徴の一つです。
配当は一見減配しているようですが、実は普通配に限れば14年間減配はありません。
2020年3月期に100円だった配当は、内訳としては普通配80円+記念配20円と特殊な年であり、2021年3月期の配当金80円は普通配基準では減配になりません。利回りも高く、4%から高いときは5%中盤まで上昇します。
2021年3月期は利益以上の配当を出していますが、それ以外は利益の範疇で配当金を出しており、利益も安定しています。
やや記念配や特別配が多く、減配の余地を残している感があるのでその分の減配の可能性は否めませんが、概ね安定株として見ても良い銘柄かと思います。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:7,229円
配当額:400円
利回り:5.53%
2025年3月期の配当金には100円分の記念配が含まれています。そのため利回りが高くなっております。ちなみに前年度も特別配当100円を計上して配当金を400円としているため、2026年3月期の配当金を300円に減配した場合でも普通配基準では減配とはなりません。
〇配当方針
業績に応じた利益配分を行うことを基本方針とし、配当性向40%を目処に配当額を決定するとしています。また最低配当額として年間300円を掲げています。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



2021年3月期に減配しているように見えるのは、前年に記念配を20円出したことが要因のため、普通配基準では減配を行っておりません。2021年3月期はEPS(一株当たり純利益)が配当金を下回っていますが、配当金は普通配基準では減らしていません。
ただ2024年3月期と2025年3月期の配当金400円の内100円分は記念配や特別配のため、2026年3月期に配当金を300円にする可能性はあります。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:4,698億円
自己資本比率:85.9%
時価総額は4千億円規模です。電炉メーカーは高炉メーカーと違い設備が小規模ということもあり、高炉メーカーほどの企業規模にはなっておりません。自己資本比率は80%超えと非常に高いです。だったら記念配や特別配ではなくて普通配で配当を出してくれればいいのに。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
市場全体の株高に引きずられる形で2021年から株価が上昇しています。株価が6,000円まで下がれば配当金300円でも利回り5%になるのですが、さて、どうでしょう。
〇総括
大和工業は大手独立系電炉メーカーで、鉄鋼業に分類されます。利益率の高さも特徴に上げられますが、同社の一番の特徴は海外諸国に展開をしていることで、海外比率が鉄鋼メーカーながら8割近くと、非常に海外に力を入れていることです。特に米国、タイ、ベトナムでは形鋼のマーケットでトップシェアを誇っており、存在感を発揮しています。中期計画では電炉メーカーらしく環境への配慮と、形鋼以外の新領域への挑戦を掲げています。
配当は普通配に限れば減配は14年連続でありません。基本的に毎年安定して利益を上げていることや、自己資本比率が80%オーバーと非常に高いこと、配当下限を300円に定めていることから普通配基準で安定した配当が期待できるものと思われます。
利回りについても直近では5%中盤と非常に高く、高配当株と言うこともできます。
但し利回りについては記念配や特別配を含んだもので、それらを除いた普通配のみは配当下限の300円となり、利回りは約4.3%まで下がります。これでも4%を超えているので十分と見れるかもしれませんが、この企業は記念配や特別配で配当金を一時的に上げる傾向があるため注意が必要です。
とはいえ概ね安定高配当株と判断して良いのではないでしょうか。


