〇3行で銘柄解説
・国内2位の高炉メーカーを擁する鉄鋼グループ
・配当は下限を80円に設定
・利回りは4%後半と高めも今後の株価に注目
〇会社概要と配当基準日
高機能銘柄分析 マネックス証券
JFEホールディングスは日本で2位の鉄鋼メーカーであるJFEスチールを擁する持ち株会社です。
JFEホールディングスは鉄鋼の他にも商社部門やエンジニアリング部門を保有しており、そちらも利益に貢献しています。
JFEスチールは日本で3社しかない高炉メーカーの内の1社(あとは日本製鉄と神戸製鋼所)であり、粗鋼生産量は世界で20位以内に入っています。
またJFEスチールの子会社であるJFE条鋼は国内電炉メーカーの最大手です。
ちなみにJFEの由来はJapanの「J」と、鉄を表す元素記号の「Fe」を合わせたものです。
JFEホールディングスは2002年に川崎製鉄と日本鋼管(NKK)が合併して誕生しました。
経営統合のきっかけは日産自動車で起こった「ゴーン・ショック」と呼ばれるもので、日産自動車のカルロス・ゴーンCEOにより当時日産自動車と系列関係にあった日本鋼管(日産自動車と日本鋼管は同じ芙蓉グループに属する企業)が、継続受注していた鋼板納入を断られる事態が発生したことにあります。
この出来事により日本鋼管は川崎製鉄との合併により企業体力増強と技術力の向上を図りました。
その日本鋼管は1912年に文字通り鋼管の製造を目的に設立され、のちに高炉を建設。
日本製鉄に次いで国内2番目に銑鋼一貫会社となりました。
当時の粗鋼生産量も日本製鉄に次いで2位でした。
一方の川崎製鉄は1950年に重機械メーカーである川崎重工業の製鉄部門を分離して設立されました。
その3年後の1953年には千葉県に日本初の銑鋼一貫製鉄所を建設しました。
当時それはとても画期的なことで、ゆえに周囲からは反対の声が多く上がりました。
配当は今までは利益に左右されていたため、利回りが大きい年も多いのですが変動も大きいことが問題点でした。
しかし2025年5月の中期経営計画にて、配当下限を80円と設定する旨が公表されました。
それにより配当は今後安定することが予想されます。
過去配当のブレは大きいながらも、利益の面である程度は安定して黒字を出せていることや、自己資本比率が低くはないことから、今後の株価次第では安定高配当株になる可能性があります。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:1,644円
配当額:80円
利回り:4.86%
利回りは5%近くになっています。
ただしこの株価は配当下限を80円に設定した旨が公表されてすぐのものになるため、今後の株価次第では利回りも下がる可能性があります。
〇配当方針
配当性向30%程度かつ配当金下限80円と設定しています。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)

赤字の年でも毎年配当を出していますが、配当金額が利益に大きく左右される傾向にあります。
ただし新中期経営計画により、配当下限が80円に設定されたことで、ある程度は安定配当が見込めるようになりました。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:1兆621億円
自己資本比率:44.8%
日本を代表する鉄鋼メーカーで、時価総額は1兆円規模です。
自己資本比率も低くありません。
〇過去10年間のチャート



引用:国内株式|SBI証券
コロナ禍で大きく株価を下げました。
その後もジグザグとしていて安定しませんが、今は割と低めの株価に見えます。
〇総括
JFEホールディングスは国内2位の鉄鋼メーカーであるJFEスチールを中心とした持ち株会社です。
同社はJFEスチールだけでなく、JFE商事やJFEエンジニアリングといった商社事業・エンジニアリング事業も行っており、それぞれグローバル展開しています。
国内では3社しかない高炉メーカーの一角であり、銑鋼一貫製鉄所を保有しているのは同社と日本製鉄だけという、まさに日本を代表する鉄鋼メーカーです。
配当は無配こそないものの、配当金額は非常に不安定でした。
しかし2025年の中期経営計画にて、配当金額の下限を80円に設定したことで安定性が高まりました。
JFEホールディングは自己資本比率も悪くなく、配当性向も過去に無理をして高くしたことも少ないため、下限80円は実現可能な公約として見られると思われます。
現状では配当80円に対して利回りが高めになっていますが、今後株価が上昇するようだと当然利回りは下がってきます。
2025年の鉄鋼業界はあまり明るい見通しではないこともあり、今後の株価は予想できないため、納得できる株価のところで保有したい、欲を言えば利回り5%以上を狙ってみたい銘柄です。



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