〇3行で銘柄解説
・住友グループ御三家かつ新居浜4社に数えられる名門総合化学メーカー
・配当は利益に連動で不安定
・利回りは2%台と高配当とはいいがたい
〇会社概要と配当基準日
高機能銘柄分析 マネックス証券
住友化学は文字通り住友グループの総合化学メーカーです。
住友財閥の中では「旧住友銀行(現:三井住友銀行)」、「旧住友金属工業(新日鐵住金を経て現:日本製鉄)」と並んで御三家に数えられ、また住友財閥の中でも特にゆかりの深い企業である新居浜4社の内の1社にも数えられる、住友を代表する名門企業です。
総合化学メーカーの中では三菱ケミカルグループに次いで2位の規模を誇っています。
事業は石油化学、高機能材料、電子材料、農業用殺虫剤、医薬品と大きく5分野に分けられます。
しかし2023年より赤字や収益の縮小に見舞われており、医薬品事業の中心である「住友ファーマ」の分離検討をはじめとした事業再編を行っています。
住友化学の創業は1913年で、当時住友財閥の中心事業であった銅の精錬時に煙害が生じたため、その煙害を解決するために排煙の中にある亜硫酸ガスから硫酸を生成し、それを原料に肥料を製造するために創業しました。
戦前にはすでに合成樹脂やアルミニウム製造に着手しており、それが後の「住友ベークライト」「住友アルミニウム精錬(1986年解散)」に繋がっています。
1958年には新居浜市にエチレンからポリエチレンに至る石油化学の一貫生産工場を設立しました。
1970年代中盤にはオイルショックによる原燃料高騰を機にファインケミカルなどに多角化を推進しました。
配当は不安定と言わざるを得ません。毎年配当金額が変化しており、減配も多いです。
ただ2024年の赤字の際や2023年、2025年の利益縮小時も配当自体はやめていないため、無配ということはなさそうです。
一方利回りに関しては2%台の時が多く、高い時でもギリギリ4%といったところ。
配当狙いとして保有するには厳しい銘柄と言えるでしょう。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:371円
配当額:9円
利回り:2.42%
利回りは2%台のため高配当とは言えません。
ただ1株の株価が安いため手が出しやすい銘柄ではあります。
〇配当方針
安定的な配当を継続することを基本として、中長期的には配当性向30%程度を安定して達成することを目指すとしています。安定とは何ぞや。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)

配当性向30%程度は確かにクリアしています。
ただご覧の通り利益が直近では安定していないことに加え、配当もだいぶ波があります。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:6,148億円
自己資本比率:24.5%
時価総額は1兆円にも届きません。
化学メーカーで規模が最大の三菱ケミカルグループは1兆円を超えています。
自己資本比率もメーカーという業種を考えると低めです。
経営に苦慮している様子がここからもうかがい知ることができます。
〇過去10年間のチャート



引用:国内株式|SBI証券
一時期800円台まであった株価は下がり続けて300円台になっています。
見方によっては安値買いのチャンスかもしれません。
〇総括
住友化学は住友グループの中でも中心的な存在である、大手総合化学メーカーです。
企業規模としては三菱ケミカルグループに次いで2位となっています。
非常に由緒正しい会社で事業分野も多岐にわたるのですが、最近では石油化学業界が低調であることもあり、業績を大きく落としています。
そのため株価も配当も振るいません。
現在は事業再編の途中と言えます。
配当は不安定で減配となることも少なくありません。
配当性向30%程度という配当方針を遵守しているため、減配自体は特に問題としていないようです。
ただ無配となることもありません。
良い方向の見方をすれば、1株の株価が現在300円台と安いので手が出しやすいことや、住友グループの中心的企業のため、いよいよもって危機的状況に陥った場合は三井住友銀行を中心に他の住友グループ企業の支援を得られる可能性が高く、よって倒産する可能性は低いのでキャピタルゲイン狙いで保有するにはチャンスかもしれないことが挙げられます。
とはいえ安定高配当株とは利回りの面からもとても言える銘柄ではありません。


