〇3行で銘柄解説
・都市銀行グループ5位、信託銀行1位の信託銀行グループ
・配当は10年以上減配なく累進配当採用で安定
・利回りは4%を狙える高配当銘柄
〇会社概要と配当基準日
三井住友トラストグループは、国内信託銀行最大手の三井住友信託銀行を中心とする持ち株会社です。
起源は1924年の日本初の信託会社である三井信託株式会社と、旧東海銀行系(UFJ銀行を経て現三菱UFJ銀行)の中央信託銀行、1925年設立の住友信託株式会社にあります。
2012年に、中央信託銀行と三井信託銀行が合併した中央三井信託銀行と住友信託銀行が合併して誕生しました。
余談ながら、住友グループは住友銀行を有しており、現在は三井住友フィナンシャルグループとなっていますが、住友銀行と住友信託銀行の仲が悪かったため、住友信託銀行が三井住友フィナンシャルグループに合流することはありませんでした。
そのため三井住友フィナンシャルグループは独自の信託銀行としてSMBC信託銀行を設立・運営しています。
三井住友トラストグループは信託銀行中心のグループではありますが、メガバンクを含む都市銀行では5位に位置付けられています。
三井信託からの流れで不動産業務に強みを持つ信託銀行です。
配当は累進配当を導入していることもあり安定しています。過去10年以上を遡っても減配はありません。
2024年3月期のみ事情が異なりますが、基本的には利益の範囲内で配当を行っている安定配当銘柄です。また利回りも4%台を期待できる高配当銘柄でもあります。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:3,855円
配当額:155円
利回り:4.02%
利回りは3%後半から4%くらいが目安となります。2025年3月期は配当金を155円に計画しているため、4%を超える利回りが期待できます。
〇配当方針
「一株当たり配当金は累進的としつつ、利益成長を通じた増加を目指す。 連結配当性向40%以上を目安に決定する。」としています。要は累進配当銘柄です。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



2013年3月期から一度も減配はありません。また基本的には毎年利益が安定しています。増配もちょくちょく行われており、2024年3月期にはEPS(一株当たり純利益)を超えるにも関らず増配をしています。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:2兆4,273億円
自己資本比率:9.5%
時価総額は2兆円を超える大企業です。さすがは財閥の名前を2つ冠する企業!
自己資本比率は金融業なのでこんなもんでしょう。
〇過去10年間のチャート



引用:国内株式|SBI証券
2022年からの株高に合わせて上り調子でしたが、最近少し株価を下げています。丁度同行の社員がインサイダーの不祥事を起こしたことも無関係ではないでしょう。その後決算の好調でまた株価が上昇しています。
〇総括
三井住友トラストグループは都市銀行5位、信託銀行1位の信託銀行グループです。とはいえ住信SBIネット銀行をはじめ、信託銀行以外の事業も行っています。
また勘違いされそうですが上で述べた通り、三井住友銀行を擁する三井住友フィナンシャルグループの一員ではなく、全く独立した存在です。
信託銀行では2位の三菱UFJ信託銀行も強いため圧倒的1位とは言いませんが、普通銀行では扱えない不動産分野で強みを持っており、不動産証券化受託残高では信託銀行で1位を誇っています。
配当に関しては他のメガバンクと同じく累進配当を採用していて安定しています。10年以上減配もなく、ちょくちょく増配もしています。利回りについても4%台を狙える位置にいることがあるため、上手く狙えば安定高配当株となります。
信託銀行首位でも都市銀行で見た場合は5位のポジションなので「Too Big To Fail(大きすぎて潰せない)」が適用されるかは不明ですが、過去に同行より規模の小さい銀行にも公的資金が注入されたことを考えると、銀行ならではの安定感がある企業と言えるかもしれません。
メガバンクの利回りが低いけれども銀行株が欲しいときに候補に挙げられる銘柄です。


