フェノール樹脂祖業で半導体にも強い 住友ベークライトの安定高配当株診断

・住友系大手樹脂加工化学メーカー

・配当は利益の範囲で行い、11年連続減配なし

・利回りは2%台と不満

目次

〇会社概要と配当基準日


住友ベークライトは文字通り住友グループに属する樹脂加工の大手化学メーカーです。

特に半導体製造過程の素材で使われる高性能パッケージ基盤向けエポキシ樹脂では約40%の世界シェアを誇りNo.1となっています。海外売上比率は約60%。

事業は半導体関連材料部門、高機能プラスチック部門、クオリティオブライフ関連製品部門の3つをバランスよく行っています。

住友ベークライトは1932年に三共(現・第一三共)の合成樹脂部門を分離し、日本ベークライトとして設立されたのが始まりです。

さらに大本をたどると、1911年に三共の創業者の一人、高峰譲吉博士の斡旋により、米国ベークライト社からフェノール樹脂の「ベークライト」の特許権を取得したことに始まります。

1938年に住友化学工業(現・住友化学)と日本ベークライトの共同出資で株式会社合成樹脂工業所を設立、1944年に住友加工材工業に社名変更しました。

その後1955年に日本ベークライトと住友加工材工業が合併して住友ベークライトとなっています。



配当は2014年3月期から減配がありません。

ただし利回りが2%台と低いのがネックとなっています。

同じ住友系の化学メーカーである住友化学と比較して業績は安定して良いのですが、明確な配当方針を定めていないことや利回りの低さもあって、あまり配当には積極的でない印象です。

今後業績が悪化した場合減配を行うのかは不明ですが、過去には2013年3月期に行っていたことから安定株かどうかと訊かれると自信のないところです。


配当基準日:3月末

〇直近株価と配当額と利回り

 

 株価:3,772円

 配当額:90円

 利回り:2.39%


利回りは2%台と高いとは言えません。

特別株価が上昇しているわけではないので、配当金の増配額が株価に追いついていないとみることができます。


〇配当方針


安定的かつ継続的な配当を実施するとのことです。

配当性向は定めていませんが、過去のデータからは大体30%程度と見ることができます。

〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



毎年利益の範囲内で配当を行っています。

ここには出ていませんが、2014年3月期から減配をしていないため、2025年3月期が予定通り90円配当ならば11年連続減配なしとなります。

〇時価総額と自己資本比率

 

 時価総額:3,436億円

 自己資本比率:71.0%


時価総額は中堅~大手といったところでしょうか。

自己資本比率は非常に高いです。

こんなに高いなら株主還元をもっとしてほしいくらいです。

 

〇過去10年間のチャート


引用:国内株式|SBI証券


株価は2020年の底からおおむね上昇傾向にあります。

ただ直近では下げつつあるのが気になります。



〇総括

住友ベークライトは大手樹脂加工の化学メーカーです。

中でも半導体向け封止材料で世界トップシェアを誇ります。

半導体材料以外にも車向けの高機能樹脂や医療関連製品も取り扱っています。


配当は11年連続で減配がありません。

ただし利回りが株価に対してあまりよくないため、高配当株とは言えないと考えます。

自己資本比率が70%を超えているため多少配当を無理しても問題はないはずですが、配当方針がふわっとしていることもあり、同社がどこまで配当を重視しているのか疑問です。

業績はここ10年間割と安定しており、配当は利益の範囲で行っています。

今後の状況は分かりませんが、業績が良い限りは減配なく進むと思われます。

ただ仮に業績が悪化した場合に減配をするのか、企業側の配当に対する意識が問われるところです。

一般的には自己資本比率が高く安定していれば減配しない場合が多い印象がありますので、減配なしで続く可能性は考えられますが、不透明です。



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