〇3行で銘柄解説
・住友グループ新御三家のITサービス・電気機器メーカー
・配当は利益に連動の印象で積極性に疑問
・利回りは1%台と高配当には程遠い
〇会社概要と配当基準日
NECは住友グループに属するITインフラ・電気機器メーカーで、登記社名は日本電気と言います。
住友御三家は「住友銀行(現・三井住友銀行)」「住友化学」「住友金属工業(新日鐵住金を経て現・日本製鉄)」ですが、NECはその後に定義された住友新御三家に「住友商事」「住友電気工業」とともに名を連ねております。
システム開発やITインフラに強く、また中国レノボとともにノートパソコンの分野でも存在感を発揮しております。
また意外にも防衛関連銘柄であり、陸上自衛隊の通信インフラを担ってもいます。
創業は1899年(明治32年)で日本電気合資会社として設立、米国ウエスタン・エレクトリック社(WE社)の製品輸入事務をしていました。
その後WE社が同社に54%の出資を行い、日本電気株式会社に改組しました。
これが日本で初の外資との合弁会社と言われております。
1920年に住友電線製造所(現・住友電気工業)と技術提携を行いました。
大正時代に入り外資系企業を排斥する気運が日本国内で盛り上がってきたところ、住友財閥に経営権を譲渡する案が持ち上がり、1932年に住友合資に経営権が移ります。
そして1941年に住友財閥に株式の過半数を所有され、1943年には住友通信工業と改称しました。
敗戦後に「住友」の商号を外し、創業時の日本電気に商号復帰しました。
配当は毎年利益の範囲から出しています。10年間で減配を行ったのは一度だけです。
ただその減配を行った年も前年比減とはいえ十分な利益が出ていたので、あまり配当に積極的でない印象を与えます。
加えて利回りが非常に低く、株価の割に配当金が手に入りません。
安定高配当株とは言えないというのが当ブログの評価です。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:12,940円
配当額:140円
利回り:1.08%
利回りは1%台で高配当とはとても言えません。
配当狙いで持つ銘柄ではないでしょう。
〇配当方針
市場動向や業績変動を勘案した適正な配当水準を維持することを基本方針としています。
また安定配当を前提に適宜機動的な見直しを行うそうです。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



毎年安定して利益を上げており、配当も出しています。
一見すると安定配当株のようですが、2019年3月期は若干EPS(一株当たり純利益)が下がっただけで減配を行っています。
配当にはあまり積極的には見えないように思えてしまいます。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:3兆3,928億円
自己資本比率:46.8%
時価総額は3兆円クラスと文句なしの大企業です。
自己資本比率も十分でしょう。
〇過去10年間のチャート



引用:国内株式|SBI証券
2023年から株価が大きく上昇しています。
NECは防衛銘柄でもあるため防衛費増額の影響を受けてのものかもしれません。
〇総括
NEC(日本電気)はITサービスやノートパソコンに強みを持つ住友系電気機器メーカーです。
住友グループではありますが、日本電気硝子や日本電気システム建設、アンリツなどNEC単独でもグループを形成する大企業でもあります。
配当は10年で一度だけ減配があります。
毎年配当を利益の範囲内で出してはいますが、この減配の年は利益が十分に上がっていたにも関わらず配当を減らしたため、あまり配当には力を入れていない印象を受けます。
また利回りが非常に低いこともあり、長期保有で配当金を享受するには不向きな銘柄と言えます。
防衛銘柄・DX銘柄であることから、配当金よりも株取引でのキャピタルゲイン(売却益)狙いの方が向いているかもしれません。


