〇3行で銘柄解説
・三井系の大手総合化学メーカー
・配当は11年連続で減配なしの安定配当
・利回りは4%台と高めも株価変動による低下に注意
〇会社概要と配当基準日
三井化学は文字通り三井系の大手総合化学メーカーです。
規模としては旭化成と3位を争う大きさとなります。
海外売上比率は約50%。
メガネレンズ材料や半導体に使うフォトマスク、食品包装のコート材では世界シェアNo.1を誇っており、他にも強みを持つ素材を多く保有しています。
三井化学の大本は1892年に三井鉱山(現:日本コークス工業)が福岡で三池炭を原料としてコークスを製造したことに始まります。
その後1912年に三井鉱山が正式に石炭化学事業を開始し、硫酸アンモニウム工場やタール蒸留工場を建設。
1916年第一次世界大戦さなかに染料の大量生産に進出し、大規模工場群を分離して1941年に三井化学工業を設立します。
一方1927年に当時の鈴木商店が破綻したのを機に、その子会社であるクロード式窒素工業株式会社を三井が買収、1933年に東洋高圧工業とします。
戦後は石油化学産業の勃興が起こったことで、三井も三井化学工業などの共同出資で石油化学に進出、1955年に日本発の総合石油化学メーカーである三井石油化学工業を設立します。
その後三井化学工業や東洋高圧工業も石油化学産業に進出しますが、1970年代から石油化学業界全体の過剰生産により国内化学メーカーは軒並み低迷。
合併再編による企業体力増強が必要となり、1997年に三井東圧化学(1968年に三井化学工業と東洋高圧工業が合併)と三井石油化学工業が合併して現在の三井化学となります。
2000年にはさくら銀行(旧三井銀行)と住友銀行の合併を契機に三井化学と住友化学工業が経営統合する話が出ましたが、2002年に白紙撤回しました。
以降、三井化学のままで頑張っています。
配当は11年連続で減配がありません。
また毎年利益の範囲内で配当を行っていて安定しています。
配当方針にDOEを用いていることもあり、今後も安定した配当が期待できるでしょう。
利回りについてはあまり期待できない時期が多く、4%台なら高めと言ってよいと思います。
タイミングを見計らって保有したい銘柄です。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:3,366円
配当額:150円
利回り:4.46%
利回りは4.46%と大手企業の割には高めです。
ただし先に書いたように、この会社の利回りは割とタイミングによるところが大きいので注意が必要です。
普段は2~3%台の時が多い印象です。
〇配当方針
「安定的かつ継続的な配当」「DOE3.0%以上を目指す」「総還元性向30%以上」としています。
最後の「30%以上」は配当性向ではなく自社株買いも含めた総還元性向なのは注意です。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



毎年利益の範囲内で配当を行っています。
また11年連続で減配がありません。
同業の三菱ケミカルや住友化学の配当が毎年安定していないので、筆者としてはちょっと意外な傾向でした。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:7,095億円
自己資本比率:41.0%
時価総額は1兆円には届きませんが、大手企業として恥ずかしくない水準でしょう。
ちなみに化学分野148社の中では10位に該当します。
自己資本比率も問題ないです。
〇過去10年間のチャート



引用:国内株式|SBI証券
株価は割と波打っています。
今は若干下がっているので買うにはちょうど良いタイミングかもしれません。
〇総括
三井化学は総合化学メーカー3位級の三井系大手化学メーカーです。
祖業は石炭化学でしたが戦後に石油化学へ力点を置きました。
今は石油化学の構造改革に取り組んでおり、自動車用樹脂などの高機能材料の拡大、ライフサイエンスやICT分野の成長に取り組んでいます。
配当は大手財閥系化学メーカーの中では一番安定していると言えるでしょう。
11年間減配がありません。
またDOEを配当方針に取り入れているため今後も大きな減配の可能性は低いと思われます。
利回りにおいても4.5%近くと大手企業としては高めなため、安定高配当株として保有するのに十分値するものと判断します。
ただし株価の上下が激しく、その分利回りも安定しないので、利回りが高いタイミングで買いたい銘柄です。


