松脂ロジンと微細藻類を強みに将来性に活路 荒川化学工業の安定高配当株診断

・松やにを使った化学製品に強みを持つ中堅化学メーカー

・10年以上減配無、赤字でも配当を出す安定配当銘柄

・利回りは4%台ながら直近の業績に不安

目次

〇会社概要と配当基準日

荒川化学工業は、松やにを主原料とした製紙用薬剤や電子材料、樹脂を取り扱う中堅化学メーカーです。リチウムイオン電池やディスプレイなどにも製品が使われています。また紙力増強剤では国内トップクラスのシェア、紙おむつなどに使われる水素化石油樹脂は世界シェア10%を誇ります。

創業は1876年で、当時から松やにの取り扱いをしていました。1914年には日本ではまだ化学工業が発展していませんでしたが、同社は松やに関連製品を製造する工場を稼働させ、その分野でのパイオニア的地位を確立しました。1967年には初の海外進出として台湾に合弁会社を設立、以後諸外国に事業所を展開していきます。2003年には東証一部上場を果たしました。

現在は海外売上比率を45%まで引き上げるべく活動中です。



配当は10年以上減配なく安定しています。利回りも当然時期によりますが、4%くらいは期待できる水準です。ただ2023年3月期と2024年3月期には赤字となっており、また2020年以降は配当性向が50%を超える年が多いため、事業の安定性が気になるところです。


配当基準日:3月末

〇直近株価と配当額と利回り

 

 株価:1,135円

 配当額:48円

 利回り:4.23%

4%くらいの利回りとなっております。2024年度期初時点では配当額は48円のまま横ばいの予定です。


〇配当方針


安定的、継続的かつ積極的な配当の実施を行うとして、配当性向40%を掲げています。過去の実績から見て、よほど利益を上げない限り配当性向はあまり意味を成さないですね。

〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



2014年度から2019年度までは十分な利益を上げていましたが、2022年度以降の利益水準が気になるところです。ただあまり減配をしたくない企業側の思いが伝わってきます。

〇時価総額と自己資本比率

 

 時価総額:225億円

 自己資本比率:44.8%

時価総額は中堅企業相当です。自己資本比率は年々下がっていて、現在は低いとまでは言わないけれど、どうだろうという水準まで下がっています。

 

〇過去10年間のチャート


SBI証券より引用


業績を反映するかのように最近は低空飛行です。1,000円近くで動いていません。



〇総括

荒川化学工業は松やにを使った化学製品のパイオニア的存在で、国内トップシェアを誇る製品を持つ中堅化学メーカーです。中期計画では既存の製品に加え、EV関連市場への参入や、ライフサイエンス、海洋プラスチック問題を解決するための素材開発など新規事業の創出を試みています。


配当は減配なく安定しています。配当方針では大したことを言ってはいませんが、赤字でも減配せずに配当金額を維持していることから、余程危機的な状況でないと減配はないと思われます。

但し最近は赤字が2年連続で続いており、2024年度も黒字見込みながら大きな利益を見込んではいないため、利益面では苦労しそうです。

自己資本比率も年々下がっているため、会社側は減配せずに安定配当を目指していますが、状況がそれを許さないといった事態も起こりえます。利回り4%以上を見込める安定配当株ではありますが、事業の安定性の面で少し様子を見たい銘柄です。

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