株主優待は社有林で森林作り 王子ホールディングスの安定高配当株診断

・国内最大手、三井グループの紙パルプメーカー

・配当は15年近く減配がないが、増配も少ないある意味とても安定配当企業

・利回りは基本3%以下だが直近では4%台まで上昇中

目次

〇会社概要と配当基準日

ツナグバ

王子ホールディングス(以下、王子HD)は国内首位、世界4位の製紙メーカーである王子製紙を擁する三井グループの持ち株会社です。製紙業界はこの王子製紙と日本製紙が国内2強となっています。段ボールや紙器、紙袋、トイレットペーパーやティッシュなどの紙製品をはじめ、フィルムや特殊紙、印刷用や出版誌用の用紙、パルプや木材加工、植林、果てはエネルギー事業など、紙に関する幅広い事業を展開している企業です。

同社の創業は1873年で、渋沢栄一の提唱により近代洋紙産業の会社として設立されました。順調に事業を行ってきましたが戦後のGHQの過度経済力集中排除法により王子製紙は分社化されます。その後分社化された一部企業が合同を果たし、以後現在に至るまで日本の製紙業界を主導しています。



配当は2010年から減配が無く、非常に安定した配当をする会社です。ただ増配の回数も少なく、2010年3月期から2018年3月期までの8年間は配当が10円のままでした。それでも配当性向は毎年50%近くとなっており、製紙業がいかに儲かりにくいかが分かる内容となっています。たださすが最大手だけあって、この間赤字はありません。利回りは高くても3%前半と、高配当株ではありませんが、2024年度9月には珍しく利回り4%台まで上昇しました。


配当基準日:3月末

〇直近株価と配当額と利回り

 

 株価:566円

 配当額:24円

 利回り:4.24%

利回りは4%超えと同銘柄にしては珍しく高い水準です。2025年3月期の配当金が利益増に伴い大幅に増えたことが理由と思われますが、今後も同水準の利回りが続くかは不明です。


〇配当方針


2024年度上半期株主宛て中間期報告書にて社長より、当面は年間配当24円を下限とし配当性向30%を目安にする累進配当を行う旨が記載されました。尚、同社は株主優待を実施しています。

〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



10年以上赤字は無く、配当も減配なく安定しています。2025年3月期には8円の増配を予定しています。

〇時価総額と自己資本比率

 

 時価総額:5,741億円

 自己資本比率:43.7%

紙パルプ業界故か、最大手の割に時価総額はそこまで高い印象は持ちません。自己資本比率はそれなりです。

 

〇過去10年間のチャート


SBI証券より引用


株価は安定せず、ギザギザを刻んでいます。直近3年では大体600円を境に±50円程度の範囲を行ったり来たりしています。



〇総括

王子HDは三井グループの企業で、日本最大手、世界でも4位の規模を誇る王子製紙を擁する持ち株会社です。ルーツは渋沢栄一の提唱から始まっており、日本の製紙業界をリードし続けた企業とも言えるでしょう。


配当に関しては10年以上減配がなく安定しています。ただ利益が上がりにくい業界であるからか、増配の回数も少ないです。配当方針でも配当性向や配当下限を設定しておらず、減配しないために配当金を上げすぎないよう注意している印象です。

ただ2024年度は利益増の見込みにより、大幅な増配を予定しております。そのため今までは極めて低い利回りだったものが、直近で4%程度の利回りまで上がってきています。ギリギリ安定高配当銘柄と言える水準かと思われます。

また同社は株主優待を実施しており、最低1,000株必要ですが4,000円相当の自社製品を貰えます。株主優待を狙うにはそれなりの資金が必要ですが、株価の単価が100円台と低いため、手を出しやすい安定配当銘柄です。

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