〇3行で銘柄解説
・住宅と化学大手の旧十五大財閥企業
・14年連続増配中の安定配当企業
・利回りが3%前後と低いのがネック
〇会社概要と配当基準日
積水化学工業は高機能プラスチックなど樹脂製品や住宅、インフラ関係の資材を取り扱う大手化学メーカーです。科学分野だけでなく、セキスイハイムを中心とした住宅分野や医薬品分野にも進出しています。
元々は1947年に当時GHQから解散命令を受けた日窒コンツェルン一部門であったプラスチック部門を分割し、積水産業として創業したのが始まりです。同じ住宅業界にある積水ハウスは1960年に積水化学工業のハウス事業部が分社化したものです。
またESGの分野にも力を入れており、ESG投資の世界的な株式指標であるWorld Indexに12年連続で選出されています。
配当は14年連続増配中で、2025年3月期も増配予定なので達成されれば15年連続増配となります。毎年利益の範囲で配当を行えている企業ですが、最近はともかく過去はやや増配額が小さく不満要因です。
また利回りが3%前後と低いため、長期保有で大きく資金を得られる企業かと言われると疑問符が付きます。
配当基準日:3月末
〇配当方針
「連結配当性向40%以上、DOE(自己資本配当率)3%以上、またD/Eレシオ0.5以下の場合には総還元性向50%以上を確保し、中期計画の投資進捗、 キャッシュポジション、株価を考慮し、適宜追加還元を実施していきます。」とホームページに記載があります。株主還元に積極的な企業であることが伺えます。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:1兆441億円
自己資本比率:59.9%
時価総額は1兆円に迫る大企業です。自己資本比率も非常に高いです。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



14年連続で増配中です。配当額もEPS範囲内に収まっていて、企業成長も順調に進んでいることが分かります。ただ利回りが3%程度で低いですね。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



現状のデータでは20年後も5%銘柄の累計配当金額程度です。ただ配当に積極的な姿勢を見せている企業なので、株価が下がったところを狙いたいです。
〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価が2,100円まで下がれば、6%銘柄の配当金累計に勝ることができます。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
株価はおおむね上昇傾向にあります。コロナの時期を除いたとしても、タイミングを見計らえば2,000円の株価は狙える範囲にありそうなチャートです。
〇総括
積水化学工業は大手化学メーカーおよび住宅メーカーとして安定した業績を残しております。ESGにも力を入れており、昨今のSDGsの潮流にも逆らうことが無いため環境分野で経営を阻害される心配もないでしょう。
配当に関しても長期にわたって安定して増配を続けており、配当方針からも配当を大事にしている思いが分かることから、今後も安定して配当を受けられそうです。
ただし現時点においては利回りが3%程度と低く、積水化学工業の株を20年持っているのと5%の利回りで配当金を安定して出してくれる企業とでは同じ金額になるため、入ってくるキャッシュの確実性という意味では5%利回り株の方が勝ります。そのため今買うのは得策とは思えません。
株価が割と上下しているので、安値の時を狙い撃ちして取得できれば優良株と言えるでしょう。


