新薬主力製品化期待のNot外資系 アステラス製薬の連続増配株シミュレーション 

・医薬品業界2位級の大手製薬会社

・12年連続増配中、18年連続減配なしの安定配当銘柄

・業績不安視の声あるが、会計の知識を持って判断したい

目次

〇会社概要と配当基準日


アステラス製薬は世界レベルの製薬会社を目指して2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業の2社が合併してできた、国内2位の医薬品メーカーです。社名のアステラスは、星を表す英語「star」ギリシャ語「aster」ラテン語「stella」を合わせた造語です。外資系っぽい名前ですが日本の会社です。

海外売上高比率は約80%に上り、海外従業員比率も60%を超えている、海外で稼ぐ会社とも言えるでしょう。医薬品としては泌尿科の分野に強みを持っています。

同社の配当方針は成長を実現するための事業投資を最優先し、配当は利益・資金計画および実績に基づくとしています。あまり配当に力を入れていないように思えますが、少なくとも2006年以降減配は無く、2012年から12年連続増配中です。


後から見ていきますが、EPS(一株当たり純利益)が配当金を下回る、もしくはギリギリの数値で不安に思われる意見もあります。しかし製薬業の場合、会計上の処理から資金が出て行っていないにもかかわらず利益が下がっている場合があり、アステラス製薬もこのパターンに当てはまっています。


アステラス製薬が決算時に公表している「コア営業利益」では配当金を上回る数値となっているので、当面は企業経営に問題はないと、当サイトでは判断しています。

配当基準日:3月末

〇配当方針

「成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、安定的かつ持続的な向上に努める」と記載があります。事業投資優先なのは製薬会社故でしょうか。それでも安定して増配を続けてくれています。

〇時価総額と自己資本比率

時価総額:3兆3,017億円

自己資本比率:46.3%

時価総額は3兆円越え、自己資本比率も安定して高めです。

〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報


毎年2円程度の増配額ですが、ここ2年間は10円近くの増配を行っていますね。2024年3月期の配当金額は70円で利回りが4%を超える高配当株になります。尚、2024年度期初時点では2025年3月期の配当金は74円を予定しております。

EPS(一株当たり純利益)が配当金ギリギリの年度が多いですが、製薬会社は無形固定資産という、特許権やのれんを持っており、会計上その一部を毎回利益から引くことになっています。

しかしそれの実態は数字上のやりくりであり、お金は出て行っていないので会計指標であるEPSは低くても、実際にはきちんとお金が存在しているということになる場合があります。(武田薬品工業もそうですね。)

アステラス製薬に関しても同様で、無形固定資産に関する会計処理を抜いた、お金ベースの本当の利益を決算時に算出しています。

それによるといずれの年度も配当金が利益の範囲に収まっているので、当面は問題ないと判断しています。

〇比較込20年シミュレーション


投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。

20年の長期運用で7.5%安定配当株クラスの累計配当金を得ることができる計算です。但し直近の増配額が10円と大きく、増配額平均がやや上振れている感がありますので、実際には6%安定配当株は超えるにしても、シミュレーションほどには配当金を得られないのではと思います。

〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション


株価1,860円で大体6%株の配当金累計額と一致します。

〇過去10年間のチャート


SBI証券より引用

おおまかな傾向だと毎年株価が上昇していますが、短期的にみると結構株価の幅が大きいです。直近では業績不振で株価が下がっているので買うには美味しいタイミングです。

〇総括

アステラス製薬は過去の増配額は毎年2円程度と小さいですが、最近は毎年10円程度の増配額まで増えています。今回は増配額を平均4円弱で見ているので、今後平均2円まで下がると厳しいですが、それでも6%株程度の配当金累計額は期待できると想定されます。

減配の可能性が低いこともあるので、毎年安定して配当を得られるでしょう。あとは株価が幾らの時に買うことができるかが鍵になりそうです。

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