〇3行で銘柄解説
・航空機給油などを行う主には石油の会社
・配当は10年以上減配なく、配当下限も設定しており安定
・利回りは5%近くと高め
〇会社概要と配当基準日
三愛オブリは石油やLNGの販売および航空燃料の給油を行う会社で、旧名を三愛石油と言います。「三愛」とは、理化学研究所系統のリコーと三愛オブリを中心とした企業グループの名前であり、同社はそのグループの中心を担っております。石油関係の販売会社ですが、航空機への給油や化学品の開発、不動産賃貸も事業として行っており、特に航空機への給油に関しては羽田空港の給油業務を独占しています。
同社は1952年に石油製品の販売を目的として設立されましたが、同年には羽田空港に営業所を開設し、給油業務を行っていました。1968年に東証一部上場、その後石油元売りのキグナス石油を子会社化しました。2022年に創業70周年を記念して社名を三愛石油から三愛オブリに変更しました。
配当は2013年から減配はありません。また毎年ではありませんが、比較的増配の多い銘柄となっております。
利回りは3~4%で取れる程度でしたが、2024年9月時点では5%近くまで上がってきています。但しこれは配当下限100円とするものかつ総還元性向100%を根拠とするもので、その期限は2026年度までとなっています。
配当性向ではなく総還元性向のため、安定配当を重視して配当金は100円から少しずつ増やし、残りの還元性向は自社株買いを行う可能性が高い、つまり今後も減配なく安定配当が続くと筆者は見ていますが、もし配当性向を100%とした場合、2027年度以降は配当金が下がる可能性がありますので注意が必要です。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:2,037円
配当額:100円
利回り:4.91%
利回りはほぼ5%です。2026年までの中期計画では総還元性向を100%に設定しておりますので、今後配当額も増えていくものと予想されます。
〇配当方針
2024-2026年度の配当金は100円を下限とし、総還元性向は100%を目指すとしています。配当性向ではなく総還元性向を100%としているので、その点は注意です。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



毎年安定した利益を出しており、配当金も利益の範囲内に収まっています。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:1,329億円
自己資本比率:53.9%
時価総額は1千億円規模で大規模な会社ではありません。自己資本比率は50%ちょいと、決して低くはありませんが総還元性向100%を打ち出すほどの余裕があるのかと疑問に思う数値です。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
上がっては下げを繰り返して、現在は2022年からの上昇傾向にあります。ただ75日移動平均線の傾斜が緩いのが少し気になります。
〇総括
三愛オブリは石油やLNGの販売および航空機への給油を行う企業で、特に羽田空港での給油業務には創業直後から関わってきており、現在では独占状態です。同社は他の石油会社と同様に脱炭素・グリーンエネルギーへの関心を強めており、新規事業として再生エネルギー分野に参入予定です。また強化する事業としてLNGや半導体製造装置関連などを上げております。
配当に関しては10年以上減配がなく安定しています。利益も毎年安定しており、配当金も利益の範囲内で出すことができています。配当下限を100円に設定しており、その状態で利回りは5%近くと高めの数値を出せております。
2026年度までは総還元性向を100%に設定しており、毎年の利益の安定性も考えると今後少しずつ配当金が増やされ、残りの還元性向は自社株買いに回すものと想定されます。
しかしその一方、総還元性向を全て配当金に回した場合は減配の可能性が高まるので注意が必要です。
もっともそのような政策を取る場合は「総還元性向」ではなく「配当性向」という言葉を使うはずなので、利益を配当金に全振りする可能性は低く、よって安定した配当が続くことが期待できるものと判断します。


