配当は30年以上の増配記録も株価が高い 花王の連続増配株シミュレーション

・石鹸や洗剤など家庭用品で日本最大手の企業

・日本企業最長の33年連続増配。現在も継続中

・利回り低く長期保有に見合うリターンは難しそう

目次

〇会社概要と配当基準日



花王はトイレタリー分野で日本最大手の企業です。洗剤、ハンドソープ等日用品から化粧品まで取り扱っています。元々は石鹸の会社で、「花王」という社名は「顔」を洗う石鹸の当て字とされています。

同社は1887年に創業し、1890年には代名詞である花王石鹸の発売を開始します。以降1900年には化粧水、1928年には業務用食用油脂「エコナ」、1932年以降もシャンプーや洗剤、柔軟剤など様々な商品を開発・販売していきます。1934年には家事全般について科学的にアプローチする研究施設として、家事科学研究所を設立しています。尚、「花王」の名は創業してしばらくしてから使い続けていますが、正式な商号としたのは1985年になります。



配当は33年連続増配中。これは日本企業では最長です。但し利回りはあまり高いとは言えません。配当は基本的には毎年の利益の範囲内で拠出しており、自己資本比率も高いことから今後も増配が続く可能性は高いですが、持ち続けて得をする銘柄かと言われると正直微妙なところです。


配当基準日:12月末

〇配当方針


安定的・継続的な配当の実施による利益還元を重視としています。累進配当は謳っていませんね。

〇時価総額と自己資本比率

時価総額:2兆6,439億円

自己資本比率:56.8%

時価総額は非常に高く、自己資本比率も高めです。安定企業という感じですね。

〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報


利回りは3%未満とあまりよくありませんね。配当金の平均増配額は9円近くと高めですが、直近では平均増配額の半分程度なのが気になります。

〇比較込20年シミュレーション

投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。


20年後の花王の配当金累計額は約68万円。5%利回りの株を20年持っていた場合の配当金累計額が100万円であることを考えると、現時点では花王株を買うよりも5%利回りの安定高配当株を買った方が得をする予想となります。

〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



花王の株価が4,050円にまで下がると、6%利回りの安定高配当株を持つよりも花王の方が得となる計算です。

〇過去10年間のチャート

SBI証券より引用

直近では5,000~7,000円程度、高い時は9,000円まで株価が上がっています。このチャートで見る限り、4,050円まで株価が下がるのは難しいでしょう。

〇総括

会社概要で述べた通り、花王は日本一の33年連続増配をしている連続増配株の代表です。しかしこれまでのシミュレーションの結果、少なくとも20年後を見る限りでは5%安定高配当株の方がパフォーマンスが良いことが分かります。増配株だからといってなんでも有難がって購入してはいけないという教訓ともなる会社です。

ちなみに花王の過去33年の配当と増配額は下の通りです。


今回のシミュレーションで使用した平均の元データを含む2014年からは増配額が10円以上となっていますが、その他は1桁台です。このことから、シミュレーションに使用した平均値よりも実際の過去30年の増配額平均値の方が低くなり、シミュレーションの結果も甘めの数値になっていることが分かります。

花王に関して言えば、ディフェンシブ株であることやその安定性から株価が高くなっていることから、連続増配株でありながらも旨味の少ない株であることが分かります。

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