〇3行で銘柄解説
・ミニショベルとクローラーローダーを世界で初めて開発した海外中心の建機メーカー
・13年連続増配中ながら、直近の配当額大きく今後同水準の増配できるか疑問
・利回り4%程度と安定高配当株としても保有できる
〇会社概要と配当基準日
竹内製作所は中堅建機メーカーで、世界で初めてミニショベルとクローラーローダーを製造した企業です。同社は中堅企業ですが、売上のほとんどを海外で上げており、ミニショベルにおいてはEUで第2位、北米で第5位のシェアを占めるなど非常に高い評価を得ている企業です。
同社は1963年に長野県で創業し、1971年には世界初のミニショベルを開発・生産します。その後は国内でOEM生産を通じて生産拡大していきますが、1992年以降、OEM生産が縮小し、販売戦略の見直しが必要になったため海外展開を進めました。
ちなみに海外へは1979年にアメリカに現地法人を設立しています。同社の製品は過酷な条件下での耐久性や優れた操作性、長時間作業にも使える快適性などが高い評価を受け、海外シェアの拡大につながりました。
配当は13年連続増配中です。過去に赤字の年がありましたが、ここ10年は赤字はなく安定した利益を出しております。また配当額も利益の中から出しており、自己資本比率も70%台と持続性にも問題なさそうです。今後の利益も好調そうですが、仮に利益が下がった場合に増配を継続するかは不明です。自己資本比率の高さから多分数円単位の増配か配当維持くらいはすると思いますが。そもそも利益が毎年安定しているので、そのようなことを考える必要もないかもしれません。
配当基準日:2月末
〇配当方針
連結配当性向30%を目安とし、安定した配当の継続に努めるとしております。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:2,383億円
自己資本比率:74.5%
中堅建機メーカーなので時価総額は高くありません。でも自己資本比率は高いです。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



2022年2月期から配当が倍ずつ増えています。ちなみに2025年2月期の予想配当額は200円と高めです。それでも配当性向30%程度となります。たださすがにここ数年の利益の伸びは珍しいのではと思います。2025年度以降は増配額が減るかもしれません。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



7%安定配当株と同じ水準の累計配当金が得られる計算です。利回りが4%とそれなりに高いのもありますが、直近で増配額平均が大きくなっていることもこの結果を出した要因だと思われます。 試しに増配平均額を2022年2月度までの平均である8円にした場合の結果は以下の通りです。5%安定配当株と同じ水準になります。



〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価が5,600円で、概ね6%安定配当株に20年後配当金累計で並ぶことになります。ただ上でも述べたように、直近の増配額が大きいことがありますので、実際にこの結果を鵜呑みにすることはできないと判断します。できるだけ株価が安いときに買うべきです。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
株価は2023年から右肩上がりで、直近で1,000円近く下げています。時期的に竹内製作所がどうというよりも、市場の上昇に引っ張られた感じがあります。
〇総括
竹内製作所は世界で初めてミニショベルを開発した中堅建機メーカーです。非常に性能の良い建機を製造しており、外国では高シェアを誇っています。同社の売上もほとんどが海外からのものです。中期計画では生産能力の向上に加え、建設現場における人手不足・技量不足を問題視して、作業を自動でできる建機の開発も進める予定です。
配当は13年連続で増配しています。利回りも現在4%前後と高めです。自己資本比率も70%と高く、また毎年の利益も安定していてこの先も利益安定が見込めるため、配当の安定も期待できそうです。
懸念点として、同社は連続増配については言及していないため増配のモチベーションに疑問符がつくことと、直近の増配額が大きいため今後も同程度の増配ができずに増配額が小さくなる可能性があることです。
とはいえ利益が毎年安定していることや、自己資本比率が高く配当維持をしようと思えばできる余力があるため、現在の4%利回りで購入した場合は20年累計配当金では5%安定配当株と同等かそれ以上の配当を得ることができそうです。配当は安定ながら金額は業績次第の側面が強そうな印象がある銘柄です。


