株主優待はカタログギフトと迎賓館入館券 淀川製鋼所の安定高配当株診断

・半世紀以上続く圧延専門の鉄鋼メーカーでカラー鋼板シェア1位

・2023年度からの3年間は配当下限200円かつ配当性向75%と安定配当

・株価は高いが利回りも5%以上と高い高配当銘柄

目次

〇会社概要と配当基準日

ツナグバ

淀川製鋼所はメッキ鋼板を主力とする圧延専門の鉄鋼メーカーです。圧延専門のため、原料となる半製品の鋼材は他の鉄鋼メーカーから購入しています。売上の95%は鋼板関係で稼いでおり、海外比率は35%程です。中でもカラー鋼板は業界1位のシェアを誇ります。また鋼板以外にも建材やエクステリア、不動産でもわずかながら収益を上げております。

同社は1935年に創業し、創業当時は溶融亜鉛メッキ鋼板のメーカーでした。1948年には電気炉や反射炉を新設し、鋳鋼品・ロールの製造を開始します。その後取扱製品を拡大させると同時に1951年に他社の工場を買収し、電気炉による普通鋼・特殊鋼のビレット(半製品)の製造を開始、1959年と1974年にも電気炉をそれぞれ1基ずつ新設します。このように過去には半製品であるビレットを自前で製造していましたが、2000年に製鋼部門を廃止し、以来圧延に特化した製品づくりを行ってきました。



配当金は減配もありますが減配額はわずかなもので、鉄鋼メーカーにしては比較的安定した配当をする企業と見ていいでしょう。2016年3月期に赤字を計上していますが、その際は減配をしなかったことから、極力減配をしないようにしているようにも見えます。

かと思うと利益が十分に出ているにも関わらず減配をするなど、配当は出しますが減配もするよくわからない配当方針を敷いてきました。

しかし2023年度からは配当下限を200円に設定したことや、自己資本比率が高いということから、しばらくは安定配当が期待できる銘柄に変わったと判断できます。


配当基準日:3月末

〇直近株価と配当額と利回り

 

 株価:5,770円

 配当額:309円

 利回り:5.35%

株価は過去10年で最高値付近なのですが、それでも5%近い利回りを確保できています。尚、仮に配当額を下限の200円とした場合は利回りが3.46%まで減少します。


〇配当方針


200円以上の配当かつ配当性向75%以上としています。尚、同社は株主優待を行っております。

〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



赤字の年もありましたが、EPS(一株当たり純利益)は割と高めで安定しています。赤字の際も減配せずに配当金を出していることから、安定配当の意識がある企業だと思われます。

〇時価総額と自己資本比率

 

 時価総額:1,837億円

 自己資本比率:71.3%

中堅鉄鋼メーカーとして十分な時価総額だと思われます。自己資本比率も70%と高めで満足です。

 

〇過去10年間のチャート


SBI証券より引用


2023年からうなぎ登りで10年前から2.5倍近くまで株価を上げております。予想するに2023年からの配当計画を受けて株価が上昇したのでしょう。余程業績が悪化しない限り下がらないと思います。



〇総括

淀川製鋼所は半世紀以上の歴史を持つ、圧延専門の鉄鋼メーカーです。主力製品は鋼板で、売上の95%を占めております。中期計画2025では、ロール事業の新規分野の需要開拓や高付加価値品の拡販などを掲げております。


配当は減配も行っていますが、鉄鋼メーカーにしては減配幅が小さく、また赤字の際も配当金額を維持していることからある程度は安定した配当を続けてきた実績があります。利益に関しては毎年安定して上げており、また自己資本比率も70%と非常に高い水準です。今回の中期計画で配当金下限を200円に設定していますが、この水準は中期計画が終了する3年間はまずクリアできるものと思われます。

配当性向75%も掲げているので更なる上積みも期待できそうですが、中期計画が終了してからどのような方針を取るかが不透明です(当然といえばそうですが)。

とはいえ現時点で利回りが5%を超える水準で、過去の減配幅も小さいことから、ある程度は安定した配当が期待できる高配当株と言ってよいかと思います。

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