〇3行で銘柄解説
・臨床検査大手のヘルスケア関係企業
・13年連続増配中で、企業側の増配意欲も高い
・利回り5%前後と高配当株の条件も満たす
〇会社概要と配当基準日
ファルコホールディングス(以下ファルコHD)は臨床検査受託大手のヘルスケアサービス企業です。売上の約6割を臨床検査事業で稼いでおり、他には調剤薬局事業で4割近くと、ICT事業で稼いでいます。ファルコHDが目指す姿として、「イノベーションを通じて他社とのすみわけを図り、ファルコにしかできないことにチャレンジすることにより人々の健康と医療を支える企業グループ」としています。
同社の創業は1962年で、京都に株式会社関西医学検査センターを設立したことでした。以後、大阪・名古屋・奈良・神戸などに6社が独立創業し、関西医学検査センターグループを形成します。1990年に社名をファルコバイオシステムズに変更、1999年に調剤薬局事業に参入、2000年にヒト遺伝子検査事業に参入します。2005年に東証一部上場、2014年に現在の持ち株会社制ファルコHDとなります。
配当は13年連続増配中です。特別配当や記念配当が多いですが、2024年度は普通配当だけで前年以上の配当を出す予定なので、実現できれば14年連続増配株となります。自己資本比率は70%と高め、ここ13年の配当は利益の範囲内で出していて、利益も赤字なく安定しています。また利回りも4%後半から5%台を狙える高配当銘柄の側面も持っています。
配当基準日:3月末
〇配当方針
DOE5%を目標に、利益成長に応じた継続増配を目指すとしています。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:264億円
自己資本比率:71.2%
臨床検査受託大手企業ながら、時価総額は控えめです。資本金は33億円、従業員数は1,000人ちょいなので一般的には中堅企業になるでしょうか。自己資本比率は70%と満足です。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



2021年3月から徐々に増配額を増やしています。その中には記念配や特別配も含まれるので、実際の増配は2~4円くらいが過去の実績と見てよいでしょう。但し配当方針でDOEを指標に定めているため、直近では増配額が上がる可能性はあります。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



8.5%安定配当株と同じ水準の累計配当金が得られる計算です。利回りの高さと、過去に36円の大増配を行ったことが増配平均額を大きくしているのでこの高さが出たのでしょう。増配額を3円にした場合のシミュレーションは以下の通りです。それでも6%安定配当株の累計配当金以上の額を20年で貰える計算です。



〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価が3,450円程度で、6%安定配当株に20年後配当金累計で並ぶことになります。ただ上でも述べたように、直近の増配額が大きい分を除くと20年配当金累計が6%安定配当株と同程度になるため、株価3,450円程度だと増配平均額の影響から6%安定配当株の累計配当金額を下回る可能性があります。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
コロナ禍で需要があったはずなのですが、2020年は一度上がってからまた大きく下げています。また2023年から徐々に上昇しています。企業の成長に合わせているというより、市場の影響によるものが大きいように思えます。
〇総括
ファルコHDは臨床検査受託業務の大手企業で、臨床検査事業で売上の約6割を稼いでいます。現在はその他調剤薬局事業とICT事業を行っていますが、新たに遺伝子検査サービスの提供を行うゲノム事業に進出予定で、2030年の将来には臨床検査事業と調剤薬局事業を安定収益源とし、ICT事業とゲノム事業で成長を図る計画を立てています。
配当は13年連続で増配しています。利回りも現在5%前後と高めです。自己資本比率も70%と高く、また企業の配当方針として増配を目指す旨を掲げていることから、今後も減配なく増配が狙えるものと思われます。
少し気になる点としては、今までの増配は特別配当や記念配当が多いところですが、2024年度(2025年3月期)の配当は普通配当だけで前年比5円の増配予定なので、これが達成されれば今後長期にわたり増配が続く可能性があるでしょう。
中堅規模の企業ですが、利回りや企業の安定性、配当の安定性を勘案すると、高配当連続増配株としておススメできる銘柄です。


