〇3行で銘柄解説
・エレクトロニクス製品を中心に取り扱う専門商社
・15年以上減配がなく、日経累進高配当指数にも採用された安定高配当銘柄
・総還元性向100%と、直近の減配予想の公表に注意
〇会社概要と配当基準日
伯東は主にエレクトロニクス製品を取り扱う専門商社です。ただ事業はエレクトロニクス製品だけでなく、ケミカル製品も取り扱っております。ただ売上の8割以上は電子デバイス関係の事業です。また専門商社でありながら、自社製品の開発も行っております。
創業は1953年で、創業者の高山成雄がブラジルから水晶原石を輸入する事業を行っていました。今でも高山家は大株主として同社に名を連ねております。1958年には水晶原石の加工機械からエレクトロニクス機器の取り扱いを開始します。1963年に伯東化学株式会社を設立し、ケミカル製品事業に参入しました。その後1991年に伯東化学を伯東に合併し、2000年に東証一部上場を果たします。
伯東の配当は極めて安定しており、少なくとも2009年度から減配がありません。利益の大小はありますが赤字は無く、基本的には利益の範囲内での配当が多いです。また利回りも高く、4%中盤から5%、タイミングによっては6%オーバーの利回りを期待できることもあります。
今後も比較的安定した配当が期待できるとは思いますが、2025年3月期の期初配当予想は260円と、20円の減配を予定しております。また同社の現在の中期計画では総還元性向を100%としているため、利益次第では少々減配する可能性も否定できません。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:5,220円
配当額:260円
利回り:4.98%
株価が特段高いわけではありませんが、現状でも5%近くの利回りを狙えます。
〇配当方針
事業成長を優先するとしていますが、一方で安定配当を基本とする旨を掲げています。また総還元性向を100%としています。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



利益の大小はありますが、大きく利益が下がる年はありません。また配当金も利益の範疇に毎年収まっています。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:1,189億円
自己資本比率:47.9%
時価総額は中堅レベルで、専門商社としては遜色ないレベルかと思います。自己資本比率は50%に近く、総還元性向100%にも耐え得る水準です。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
2022年から株価は上昇傾向です。直近2024年に株価を少し下げていますが、それは減配予想を出したことが理由かと思われます。
〇総括
伯東はエレクトロニクスの専門商社で、エレクトロニクス部門の他にも化学製品の取り扱いや開発事業も行っております。今後は機器・化学事業で協業やM&Aによる新規事業の創出も目指していく方針です。
配当に関しては長きにわたり減配なく安定しており、日経累進高配当株指数に採用されたこともありました(2024年6月除外)。利益も上下はありますが赤字はなく、配当金も利益の範囲内に収まっています。また利回りが良いのも特徴で、4.5%前後から、タイミングによっては6%オーバーの利回りも期待できる高水準です。
安定高配当株として十分なポテンシャルを持っていますが、懸念点は現在の中期計画で総還元性向を100%としていることです。総還元性向なので必ずしも配当金に影響を及ぼし減配となるわけではありませんが、2024年期初予算の段階で2025年3月期の配当金を前年度マイナス20円と減配予想を出しています。連続累進配当が続いていることと、期初予算段階でまだ先が見えない時点での公表なので後々配当金の上方修正の可能性も十分にあると思いますが、若干気になるところです。
考え方によっては減配公表により株価が下がっていると判断し、今のうちに購入しておいて配当維持や増配の変更公表に備えるというやり方もあります。


