氷川丸や飛鳥クルーズを有する三菱発祥企業 日本郵船の安定高配当株診断

・三菱財閥発祥企業の最大手海運会社

・コロナ禍で稼いだ潤沢な資金で事業変革中

・配当は100円下限で安定なるも、それ以上の上積みは業績次第

目次

〇会社概要と配当基準日


日本郵船は日本の3大海運会社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)の一角で海運最大手の会社であり、三菱財閥の発祥となった企業です。

創業は1870年(明治3年)で、三菱財閥創始者とされる岩崎弥太郎が九十九商会として海上物資輸送を行ったのが始まりです。この九十九商会が船旗号として使用した、岩崎家の家紋「三階菱」と土佐山内家の家紋「三ツ柏」を合わせた三角菱が、現在三菱マークとして使用されている「スリーダイヤ」の原型になっているとされています。

余談ですが現在の多業種にわたる三菱財閥(グループ)は、岩崎弥太郎の弟である岩崎弥之助の時代に構成されました。九十九商会はその後三菱商会、郵便汽船三菱会社と社名を変えていきます。

その後、三井財閥を中心とする政府系海運会社である共同運輸会社と激しいシェア争いを行い、その最中に創業者の岩崎弥太郎は亡くなります。その後を継いだ岩崎弥之助は日本の海運業界の将来と従業員のことを考え、政府による郵便汽船三菱会社と共同運輸会社の合併提案を受け入れ、日本郵船が設立されます。設立当初は共同運輸会社の役員が多かったのですが、後に三菱側の役員が勢力を増していき、現在では三菱グループの会社となっています。

日本郵船は海運事業の他に、陸運事業や航空運輸事業も行っていました。2021年からのコロナ禍で海運事業はコンテナ船の旺盛な需要により莫大な利益を上げており、コロナ禍が収まった現在では、貯め込んだ利益を今後どのように使うかが海運業の焦点になっています。日本郵船においては、総合物流企業としての事業強化に加え、新規事業としてESGに関連する事業や宇宙関連事業にも進出を図っています。



配当は事業利益が市況に影響されやすい海運業ということもあり、安定していません。2019年度辺りまでは利回りも配当も大したことがありませんでしたが、2021年度から2年間はコロナ禍による空前絶後の好業績により配当金額が爆増、利回り10%を超える高配当株となりました。コロナ禍が収まった現在は配当下限100円として、利回り3.5%前後の配当金を予定しています。中期計画の2026年度までは下限100円の安定配当が望めますが、その後は日本郵船の事業展開が上手くいくかにかかっているため、長期的目線では不確実性が大きい銘柄と言えそうです。


配当基準日:3月末

〇直近株価と配当額と利回り

 

 株価:4,703円

 配当額:160円

 利回り:3.4%

2024年度期初予算の段階では配当金を160円としており、実現すれば現在の株価水準で3.4%程度の利回りとなります。


〇配当方針


配当金の下限を100円に設定しており、かつ配当性向30%を目安としています。また事業環境等を勘案し、追加還元を機動的に実施するとしています。また同社は株主優待を行っております。

〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)


コロナ禍付近で株価が10倍近くに上昇したため、株式分割を行いました。そのため配当金額が半端な数字になっています。2020年3月期までは全般的に利益は低水準で、配当も安定しませんでした。2022、2023年3月期は利益が跳ね上がったため配当金も非常に高くなっています。ただしこれは一過性のもので、2024年3月期の140円程度の配当が本来の水準と思った方が良いです。

〇時価総額と自己資本比率

 

 時価総額:2兆1,560億円

 自己資本比率:62.3%

時価総額は約2兆円。自己資本比率はコロナ禍以前には30%に満たない程度でしたが、コロナ禍の爆益を背景に60%オーバーの潤沢な自己資本が手に入りました。

 

〇過去10年間のチャート


SBI証券より引用


しつこいようですがコロナ禍でコンテナ船の需要が高まり業績がとても良くなったため、株価もそれに合わせて爆上がりしました。2023年以降も概ね上昇が続いていますが、これは昨今の株高にも影響されているものと思われます。



〇総括

日本郵船は三菱財閥の起源となる日本最大手の海運会社で、明治時代には積極的に諸外国への海路を築いて日本の近代化に貢献しました。現在は海運に限らず総合物流会社としての側面を持つとともに、脱炭素や水素・アンモニア、洋上風力などのESGに絡む新しい事業にも進出中です。


配当は2026年度まではある程度安定しそうです。それは減配が無いという意味ではなく、配当下限を100円としているからで、自己資本比率を見てもそれくらいの配当には耐えられると会社側が判断したと推測されるからです。この自己資本比率を生んだコロナ禍の爆益をどのように生かすかが、日本郵船に限らず今後の海運会社にとって鍵になります。

先述の通り日本郵船は総合物流会社としての事業拡大とESG関連事業への進出を今後の利益の源泉にしようと計画しています。それが上手くいけば、今後も安定した配当が期待できる可能性が高まりますし、上手くいかなければまた市況に左右されやすく利益も配当も安定しない企業に逆戻りとなります。

現在の海運業界はコロナ禍で貯め込んだ資金を次にどう生かすかが問われている状況にあり、この転換期においては長期保有に値する銘柄かどうかを判断することは難しいと言えます。

ただ、気休めではありませんが三菱グループに属する企業であり、かつ三菱の発祥企業でもあるわけですからつぶれることは無いと思います。多分、三菱の名に賭けて救済するでしょう。

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