損保業界のブランド企業 東京海上HDの連続増配株シミュレーション

・国内損害保険業界1位、三菱グループの大企業

・12年連続増配かつ累進配当の安定配当株

・株価が高く利回りが低い、高配当とは言いにくい銘柄

目次

〇会社概要と配当基準日


東京海上ホールディングス(以下、東京海上HD)は、子会社の東京海上日動火災保険を中心とした三菱グループかつ損害保険首位の持ち株会社です。

東京海上日動火災保険の他、日新火災海上保険やイーデザイン損害保険、東京海上日動あんしん生命保険をはじめ、欧米にも多くの有力子会社を傘下に収めています。

海外売上比率は約75%と高めです。

また世界の損害保険業界時価総額ではTOP10に入る、世界的な企業でもあります。

東京海上HDの中心企業である東京海上日動火災保険は1878年に日本初の海上保険会社、東京海上保険会社として渋沢栄一らの手によって設立されました。

その頃から三菱財閥とは親密な関係を築いていました。余談ですが、日本初の火災保険会社は1887年創業の安田火災海上保険(当時東京火災保険)で、現在の損害保険ジャパンです。

以降1914年には日本初の自動車保険を発売、1959年には同じく日本初の賠償責任保険を発売、1998年には自動車事故における人身傷害保険の発売、2012年にも1日自動車保険のちょいのり保険を発売と、損害保険業界のリーディングカンパニーとして絶大な影響力を誇ってきました。

2002年には個人分野に強い日動火災海上保険と経営統合し、2004年に合併して現在の東京海上日動火災保険となりました。


連続増配年数は、2019年3月期の記念配当を除く普通配当で計算すると、12年連続増配となります。

基本的に毎年安定した利益を上げており、2021年3月期を除けば配当金は利益の範囲内に収まっています。

また同社は原則減配をしないことを明言しているため、今後も減配はないものと思われます。

加えて同じメガ損保に数えられるMS&ADインシュアランスグループホールディングスとSOMPOホールディングスが共に10年以上の増配を続けていること、日本の損保業界は実質メガ損保3社(子会社単位で4社)でシェア9割を握っている寡占業界であることを踏まえると、今後も増配が続くことを期待できると思われます。

但し他の損害保険会社と異なり、業界首位故か株価が高めで利回りが低いことから、他の連続増配株の方がパフォーマンスの良い場合も多いです。

配当基準日:3月末

〇配当方針

事業を通じた利益成長と整合的な配当をするとし、原則減配しない(=累進配当)ことを掲げています。配当性向の縛りは単年で定めることはありますが、基本的には定めていません。

〇時価総額と自己資本比率

時価総額:10兆5千億円

自己資本比率:16.9%

時価総額は損害保険業界1位です。自己資本比率は損害保険業界では特段低いものではありません。


〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



毎年安定して配当を出しています。2020年3月期に減配しているように見えるのは、前年の2019年3月期に記念配当をしているからで普通配当では増配となっています。株価は高めです。

〇比較込20年シミュレーション

投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。





とても20年で十分元が取れるとは言えない水準です。全て株価が高いのが悪い。

〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション




株価3,800円まで下がってようやく6%安定配当株と同じ累計配当金額になりました。後にチャートを見ますが、ここ数年株価が上昇傾向にあるため当分は狙えない株価かと思われます。

〇過去10年間のチャート


SBI証券より引用



2022年から株価は大きく上昇しています。2022年10月に1:3の株式分割を行っています。直近2024年からは日本市場の株高や金融政策に引っ張られていることも株高の理由でしょう。



〇総括

東京海上HDは東京海上日動火災保険などを傘下に収める、3メガ損保の中でも首位を誇る三菱グループの損害保険会社です。同社は昔から業界初の保険を多数生み出しており、他の損害保険会社はその動きに追随するほどの影響力を持つ、損害保険業界の盟主と言っても過言ではない企業です。中期計画では経営効率の重要な指標であるROEの数値上昇や、専門性の高い代理店支援体制の構築、新種保険の拡大などを掲げています。

配当は普通配当に関して12年連続増配中で、2025年3月期も増配予定なので13年連続増配予定となります。同社は累進配当を掲げており、また事業利益も毎年基本的には安定しているため減配の心配は少なく、また3メガ損保の他社がいずれも10年以上連続増配を続けていることから、今後も連続増配は続いていくものと思われます。

現在でも損保業界は東京海上1強と言われることがあるほど影響力も売上規模も大きい企業ではありますが、それゆえか株価は高い傾向にあり、5%近くまで利回りが上がることは過去を含めても稀です。現在の株価と2025年3月期の配当159円で利回りを計算しても3%にとても届かないことから、高配当株でないことは明らかです。そしてその株高ゆえに、20年保有の場合でも高配当株保有の累計配当金にとても敵いません。恐慌レベルの株安になれば分かりませんが、現状では連続増配株と言えど旨みがありません。

安定株ではありますが、保有をするのなら同じ損害保険業界でメガ損保であるMS&ADインシュアランスグループホールディングスやSOMPOホールディングスなどの利回りが良い銘柄か、他業界の連続増配株を狙った方が良いと考えます。

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