現在ネット証券業界は、「SBI証券」と「楽天証券」が実質2強のような状態です。
なぜこの2社は強いのか。
それは株式等の売買手数料がこの2社だけ無料だからです。
他のネット証券会社は割引制度などはありますが、無条件に売買手数料無料になるところはありません(2024年12月現在)。
しかしこれがNISAになると、「SBI証券」と「楽天証券」が必ずしも優位とは言えなくなります。
なぜなら大手ネット証券5社においてはNISA口座における売買手数料はいずれの会社も無料だからです。
実際はNISA口座もこの2社がシェア1位2位なのですが、売買手数料無料のアドバンテージを抜いた場合、実は他のネット証券の方が条件が良かったりするのです。
今回は大手ネット証券5社を、NISAだけを使うという条件付きでお得度をランキング化していきます。
1位 三菱UFJ eスマート証券
メリット
〇投資信託クレジットカード積立投資のポイント還元率が無条件で業界トップ級(金額問わず1%)
〇日本株の「1株投資」自動積立ができる
〇Pontaポイントの利便性が高い
デメリット
✕投資信託保有によるポイント還元率が低め
✕米国株・米国ETFを買う際に為替手数料がかかる
NISAによる投資信託の積立購入ではクレジットカードを使っていかにポイントを貯めるかがカギになってきます。
その際三菱UFJ eスマート証券は他の証券会社と比較したときにポイント還元率が積立金額問わず無条件に1%と利便性と還元率の高さを誇っています。
購入できる投資信託の本数も不満はありません。
日本株の自動積立にも対応しており、こちらも取引手数料無料で行えます。
但し米国株取引の場合は為替手数料がかかるので、他社を検討した方が良いかもしれません。
とはいえ国内投資信託と株式ではポイントの面で他証券会社より優位なため、1位としました。
1位 楽天証券
メリット
〇楽天証券限定販売の投資信託があり、「全世界株式」「米国株式」の投資信託信託報酬は「eMAXIS」シリーズよりも安い
〇日本株の「1株投資」自動積立ができる
〇米国株・米国ETFを買う際の為替手数料が無料
デメリット
✕「eMAXIS全世界株式(オルカン)」「eMAXIS米国株式(S&P500)」投資信託保有によるポイント還元率が0
✕日本株の「1株投資」自動積立対象となる銘柄数が他社と比較して少ない(他社約3,900銘柄に対して約1,800銘柄)
三菱UFJ eスマート証券と比較し、こちらは投資信託自体の強みで勝負です。
ポイントの貯まり具合は三菱UFJ eスマート証券に負けますが、楽天証券限定販売の投資信託がeMAXISをも上回る信託報酬の安さが魅力です。
また米国株投資の際の為替手数料も無料である点も嬉しいです。
弱点は日本株の自動積立対象となる銘柄数と、eMAXISを購入する場合は投資信託保有でポイントが稼げなくなってしまうことです。
楽天証券限定投資信託に誘導しようとしているのですね。
とはいえ三菱UFJ eスマート証券ほどではありませんがポイントもきちんと貯まります。
また楽天証券限定投資信託や米国株為替手数料無料など、三菱UFJ eスマート証券とは異なった方面でPRしています。
三菱UFJ eスマート証券と甲乙つけがたいため、同率1位としました。
3位 マネックス証券
メリット
〇月5万円までなら投資信託クレジットカード積立投資のポイント還元率が無条件で業界トップ(1.1%。5万円超の積立では還元率逓減。)
〇得られるマネックスポイントは他のポイントやマイル、Amazonギフトカードに交換可
〇中国株の売買手数料がキャッシュバックにて実質無料
デメリット
✕日本株の「1株投資」自動積立ができない
✕米国株・米国ETFを売る際に為替手数料がかかる(購入時は無料)
✕証券口座との提携で普通預金金利サービス等を行っている銀行が存在しない
マネックス証券は月5万円までの投資信託クレジットカード積立ならばポイント還元率が無条件で1.1%と、auカブコム証券を0.1%上回り業界トップです。
5万円を超えると徐々に還元率が下がっていきますが、仮に最高の月10万円積立を行った場合でもポイント還元率は約0.73%と中位の水準であるため弱点とはなりません。
マネックスポイントはポイントだけでなくマイルやギフトカードにも交換できるため利便性が高いのも魅力です。
またマネックス証券のお家芸として中国株に強く、大手ネット証券5社では唯一中国株の売買手数料が実質無料となっています。
弱点としては米国・中国株に強いマネックス証券にしては意外にも為替手数料がかかることや、日本株の1株投資自動積立に対応していない点が挙げられます。
また松井証券を除く他の証券会社はネット銀行と提携しており、証券口座と組み合わせることで銀行の預金金利が上がるサービスがありますが、マネックス証券にはそれがありません。
今後イオン銀行などでサービスを開始する可能性はありますが、現状ではその動きもないため弱みとしました。
とはいえマネックス証券も他の証券会社と差別化を図っており、中国株売買手数料実質無料はその典型です。
加えて無条件に月5万円までのポイント還元率が高いのも、投資に回せる資金が少ない若い人には嬉しいところです。
1位の証券会社よりはターゲットが少ないかもしれませんが、差別化を図って質の良いサービスを提供している点で3位としました。
4位 SBI証券
メリット
〇三井住友カードプラチナプリファードを年間300万円以上利用した場合に限り、投資信託クレジットカード積立投資のポイント還元率が業界トップ
〇様々なクレジットカードで投資信託クレジットカード積立投資ができる(還元率一律0.5%)
〇貰えるポイントの種類が豊富
〇SBI証券限定販売の投資信託があり、年4回決算型シリーズが多い
〇米国株・米国ETFを買う際の為替手数料が無料
〇日本株の「1株投資」自動積立ができる(2024年秋から)
デメリット
✕ 三井住友カードで投資信託クレジットカード積立投資のポイントを行う場合、クレジットカード利用額が年間10万円未満だとポイント還元率が0%になる
✕三井住友カードプラチナプリファードの年会費が高く(33,000円/年)、高いポイント還元率を得るためのクレジットカード年間利用額のハードルが高い
考えうる粗方のサービスに対応しているのがSBI証券です。
SBI証券限定投資信託の取扱や、米国為替手数料無料、日本株の1株投資、さらにはマネックス証券よろしく貰えるポイントの種類も豊富、もちろん投資信託保有によるポイント還元有と、証券口座開設数・ネット証券シェア共に1位の王者の貫禄を見せてくれます。
投資信託クレジットカード積立のポイント還元率も、条件付きではありますが最高3%と5大ネット証券ではトップです。
ただSBI証券の最大の弱点はこの投資信託クレジットカード積立のポイント還元率で、ポイント還元を受けるための条件がきついのです。
年会費無料のカードでも年間10万円以上のクレジットカード利用が条件となっていて、これを満たさないと投資信託積立のポイント還元を受けられません。
また2%~3%のポイント還元を受ける場合は三井住友カードプラチナプリファードを保有する必要があり、その年会費は33,000円と高額。
さらにその状態で2%還元の場合は年に300万円以上、3%還元の場合は年に500万円以上のクレジットカード使用が条件となってきます。
カードの年会費が高いことから、仮に3%還元で月10万円積立を行ったとしても、年間3千円の特にしかなりません。
もし2%還元の場合は9千円の赤字です。
他の証券会社が持つスペックは粗方クリアしていて使いやすい証券会社ではありますが、ポイント還元率を重視する場合、あまりにも投資信託クレジットカード積立ポイント還元の弱点が致命的であることから4位としました。
5位 松井証券
メリット
〇松井証券ポイントはdポイントやAmazonギフトカードと交換可
〇米国株・米国ETFを買う際の為替手数料が無料
デメリット
✕投資信託クレジットカード積立投資が存在せず、ポイントが貯まらない
✕日本株の「1株投資」自体ができない
メリットは松井証券ポイントがギフトカードに交換できる点と、米国株為替手数料が無料の点です。
なお、今回はNISA特化でのランキングのため松井証券お得意のiDeCoについては検討条件から除外しています。
弱点は投資信託クレジットカード積立投資が存在しないことで、これだけでポイントの貯まり具合がドカンと減ります。
ちなみに投資信託保有によるポイント還元は存在しますが、特筆する水準ではありません。
また日本株の1株投資はNISAに限らず対応していないのもマイナスポイントです。
松井証券についてはポイントでは測れないメリットが多々あるため普段使いには選択肢として挙げられますが、正直NISAについていえばあまり旨みがありません。
iDeCoには力を入れている印象がありますが、今回の議題はNISAのため、5位と致しました。
最後に
ネット証券に詳しい方にとっては少々意外な結果だったかもしれません。
ただ1位から3位までの証券会社については「ポイントの三菱」「基礎力の楽天」「手軽さのマネックス」といったように、各社それぞれの方向性でNISAに力を入れていることが伺えました。
今回のランキングは筆者個人の判断によるものです。
また今回は「NISAを使う場合」という条件下でランキングしたため、売買手数料など様々な条件を勘案していないことも背景にあります。
そのためNISAだけでなく特定口座などを使用して株式等の売買を行う場合はまたランキングも変わってきますし、個々人に合った証券会社も変わってきます。
下記に記事を書いておりますので、NISA以外でも投資を行う場合は是非ご覧いただければと思います。


