カーボンニュートラルに戦略部で挑む ENEOS HDの安定高配当株診断

・石油元売り最大手の三菱系企業

・事業はクリーンエネルギーに注力中

・配当は22円で安定も昨今利回り低し

目次

〇会社概要と配当基準日


ENEOSホールディングス(以下ENEOSHD)は石油の精製・元売りの最大手持株会社です。傘下に石油元売り等のENEOSやJX石油開発などを擁しております。

昔から合併を繰り返しており、合併会社の中に旧三菱石油が存在したため、ENEOSHDも三菱グループに属しています。2017年に東燃ゼネラルを吸収合併し、JXTGホールディングスとなり、その後2020年にENEOSHDに名称変更しました。

石油会社としては国内で販売実績シェアトップの約50%を誇っており、売上高では世界6位級の規模を誇っています。また昨今のカーボンニュートラルの流れに沿うように、再生可能エネルギーの分野にも進出しています。



配当は10年以上減配がありません。石油株は利益が安定しにくいという特徴があり、実際赤字の年も3度ありますが、減配せずに配当を続けています。ただ大きな利益を上げたとしても、それに連動して配当金を大幅に上げるようなことはしていないので、配当金が上がりも下がりもしない、良くも悪くも安定した配当が得られる銘柄と言えます。


配当基準日:3月末

〇直近株価と配当額と利回り

 

 株価:820円

 配当額:22円

 利回り:2.68%

割と4%中盤以上の利回りが得やすい銘柄だったのですが、最近の株高から利回りが2%台まで下がっています。株価は1,000円以下のため、比較的買いやすい銘柄です。


〇配当方針


安定的な配当継続に努めるとし、配当下限を22円に設定しています。また総還元性向を3カ年平均で当期利益の50%以上としています。

〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)


EPS(一株当たり純利益)は毎年だいぶ上下がありますが、配当金は減配なく安定しています。ただし表の通り、増配はあまり期待できません。

〇時価総額と自己資本比率

 

 時価総額:2兆4,566億円

 自己資本比率:31.8%

時価総額は石油元売り最大手だけあって高いです。自己資本比率は約30%とやや低めです。

 

〇過去10年間のチャート


SBI証券より引用


政情不安による原油高懸念が原因なのか、株価は右肩上がりに上昇傾向を見せています。コロナ禍からは株価が倍まで増えていますね。



〇総括

ENEOSHDは石油元売り国内最大手の持株会社です。傘下には石油のENEOSや、JSRから引き取ったエラストマー事業、電気事業、クリーンエネルギー事業など、石油に限らず様々な事業を行っています。特にクリーンエネルギー事業に関しては、全世界的な脱炭素の流れにより石油事業の先細りが予想されることから事業転換を行うべく、中期計画でも力を入れている分野となります。


配当は安定しています。配当方針では下限22円としており、また利益に関わらず10年以上減配がないことから、安定した配当が期待できると思われます。

但し自己資本比率が30%程度と低く、また配当性向ではなく総還元性向で50%以上という数字を示していることから、今後利益が出たとしても、配当金を上げる方向ではなく自社株買いで株主還元を行う可能性が高い、つまり配当金を上げる可能性が低いと考えられます。会社として減配をしない方針を取っているのだとしたら、一度配当金を上げてしまうと減配ができないことから融通が利く株主還元策として自社株買いを選択する可能性が高いです。

また現在の利回りは2%台と低く、高配当株としての旨味もありません。買うのなら最低でも利回り4%中盤以上となる株価まで下がるのを待ってから購入したいところです。

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