〇3行で銘柄解説
・ソフトバンクグループから通信事業が分離した国内3位の携帯電話・ネット回線事業者
・配当はほぼ86円で安定。将来株主優待創設予定
・昨今の利回りは下がり気味だが、利回り5~6%を狙える高配当安定銘柄
〇会社概要と配当基準日
ソフトバンクは携帯電話等を中心とした大手通信事業会社です。日本で通信事業会社はソフトバンクの他、日本電信電話(NTT)とKDDIの合計3社が大手でほぼ寡占状態であり、楽天モバイルがこれに割って入ろうかと苦労している状況です。
尚、証券番号9984の会社は「ソフトバンクグループ」であり、今回取り上げる証券番号9434の「ソフトバンク」の親会社ではありますが、あちらは事業投資会社で全くの別物です。株式購入時にはお気を付けください。
ソフトバンクの事業は携帯電話通信の他、インターネットや検索エンジンのYAHOO!JAPAN、SNSのLINE、ZOZOTOWN等eコマース事業やPayPay等多岐にわたっています。
ソフトバンクの大元は1981年に孫正義氏が創業した日本ソフトバンクですが、その後諸々あって会社が大きくなり、2004年に通信事業会社の日本テレコムを子会社化、次いで2006年に携帯電話事業会社のボーダフォンK.Kを多額の資金を投じて買収、ここに携帯電話事業会社ソフトバンク(祖業)が成立します。2015年に祖業のソフトバンクが「ソフトバンクグループ株式会社(9984)」に、携帯通信事業が「ソフトバンク株式会社(9434)」に商号変更し、2018年に「ソフトバンク株式会社(9434)」が東証一部上場を果たします。その後は携帯電話通信事業の他にも様々な事業を関連会社化・子会社化して現在に至っています。
配当は最近ではほぼ86円で安定しています。上場以来減配もありません。ソフトバンク(祖業)創業者の孫正義氏が「ソフトバンクグループ(9984)」の方を重視しているからか、通信事業は寡占業界で安定したストックビジネスだからかは知りませんが、配当性向が高く、利益の8割近くを配当として出しています。利回りも高く、最近の株高でも4%中盤を確保しており、2022年近辺には5%中盤~6%台の非常に高い利回りを記録していました。
また同社は2024年10月に1株につき10株の株式分割を行う予定で、また2026年度からPayPayポイント(1,000ポイント)の株主優待を行うことを予定しています。これが実施された場合、直近の株価で考えれば1株150~200円程度と、日本電信電話(NTT)に比肩する低株価となる上、配当と株主優待を勘案すると非常に高い利回りが狙えるお得な銘柄になる可能性があります。
現在でも高めの利回りですので今の内に値上がり予想で確保しておいても良いですし、利回り5%以上を狙える1,500円台まで下がるのを待ってから購入するのも手です。事業利益も安定しているので、安定高配当株かつ将来のお得な優待株としておススメです。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:1,966円
配当額:86円
利回り:4.37%
利回りは株高の現在でも4%中盤を誇ります。数年前は1,500円台で5%後半の利回りだった時もありました。
〇配当方針
安定性・継続性に配慮しながら配当を実施するとのことです。以前は累進配当制でした。
〇過去6年配当とEPS(一株当たり純利益)



上場してからそこまで年月が経っていませんが、安定した利益と配当を継続しています。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:9兆2,447億円
自己資本比率:15.3%
時価総額は日本の上場企業の中でもトップクラスです。一方自己資本比率は不安になるほど低いです。まあ利益のほとんどを配当に回しているので当然といえば当然ですが…。
〇過去6年間のチャート



SBI証券より引用
どの企業も上場直後は株価が安定しないものです。ソフトバンクに関しては1,500円前後で安定していましたが、2023年中盤から一気に上昇しています。EPS(一株当たり純利益)は過去と大して変わっていないので、市場全体の株高に引きずられたものと思われます。
〇総括
ソフトバンク(9434)は孫正義氏が創業したソフトバンク(祖業)から携帯通信事業を分離した、日本における3大通信事業会社の一角を成す企業です。携帯電話事業のシェアでは日本電信電話(NTT)、KDDIに次いで3位ですが、携帯電話事業の他にもインターネット通信やeコマース、SNS、PayPayを中心とした金融事業などを関連会社などの形態も含めて保有しています。中期計画ではDX事業の拡大や再生可能エネルギーの分野にも力を入れていく予定です。
配当に関しては、最近はほぼ86円で固定です。利回りも4.5%近辺と高く、時期によっては5~6%も狙える高利回りの銘柄です。自己資本比率は親会社の「ソフトバンクグループ(9984)」共々不安の残る数字ですが、携帯通信事業という寡占業界かつ安定した利益を上げる事業を保有しているため、そこまで心配しなくて良いという感想です。
同社は2024年10月に株式を10分割する予定で、これにより1株の株価が予想150~200円程度となり、1単元(100株)でも2万円以下で保有できることになります。また将来的に1単元以上の株式を1年以上保有すると1,000円分のポイントが貰える株主優待の実施を計画しています。この2つのニュースにより、高校生や大学生、株初心者が購入しやすいお手頃価格で高い利回りと高いパフォーマンスの株主優待を併せ持つ人気銘柄になる可能性があります。
現在の日本電信電話(NTT)のように、株式分割後に株価が大きく下落するパターンもあるので一概には言えませんが、現状でも4.5%近くの利回りを誇り、かつ安定して配当金が得られる銘柄となっているので、安定高配当株としておススメできると判断します。


