〇3行で銘柄解説
・スーパーゼネコンの一角、関西発祥の巨大建設企業
・10年以上減配無。配当方針にDOE採用の安定配当企業
・3.5~4.5%を狙える利回り
〇会社概要と配当基準日
大林組は最大手建設会社5社の内の1社で、所謂スーパーゼネコンと呼ばれる会社です。スーパーゼネコン5社の中でも上位に位置します。関西発祥の企業で関西に強固な地盤を持っていますが、首都圏でも「高輪ゲートウェイ駅」や「東京スカイツリー」「虎ノ門ヒルズ」など多くの施工実績を持っています。海外にも進出しており、海外売上比率は約25%です。
創業は1892年で大林芳五郎が大阪で土木建築請負業を始めたのがスタートで、1904年には店名を大林組に変更しています。同社は同族企業ではありませんが、大林家は今でも経営に影響力を持っています。大林組は大阪の築港工事で名を上げ、初代の通天閣を建築しました。関西私鉄の鉄道工事で成長をし、1911年には東京駅丸の内本屋の施工で東京進出を果たします。その後も戦前では業界一位の施工数高を占め、戦後には沖縄米軍基地工事や関西国際空港、明石大橋など大型案件の施工も果たしています。
技術としては地中連続壁工法や超高層建築技術を得意としており、最近ではカーボンニュートラルの一環として大規模木造建築にも挑戦しています。
配当は安定していて、10年以上減配がありません。赤字の年はありませんでしたが、利益が大きく下がった年がありました。その時も減配はしていません。利回りは2022年策定の中期計画から3.5~4.5%程度とそこそこの数値になっております。同社はDOE(自己資本配当率)を配当指標に使用しており、DOE5%程度を目安として長期安定配当の維持を第一とする旨を公表しているため、実績も含めて今後も安定した配当が続くものと思われます。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:1,912円
配当額:80円
利回り:4.18%
利回りは4%を超えています。2024年から大幅に株価を上昇させていますが、それでも4%の利回りを維持できているのは立派でしょう。
〇配当方針
長期安定配当の維持を第一とし、DOE5%を目安に配当するとしています。尚、DOEは利益水準の中長期的な改善傾向に合わせて見直す予定です。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



2022年3月期は利益が例年の半分に下がりましたが、減配せずに配当を行っています。その他は毎年安定して利益を出しており、また中期計画が2022年に策定されて最初の配当である2024年3月期(2023年度)には配当性向が70%近くに上昇し、配当も2倍近くに上がっています。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:1兆3,315億円
自己資本比率:38.2%
時価総額は建設・土木部門で2位の高さです。因みに1位は鹿島建設です。自己資本比率は40%近くとまあまあで、上場している他のスーパーゼネコンと大して変わりません。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
2024年に株価が急上昇しています。これは大林組が資本政策や配当方針の見直しを発表したことが好感された結果とされています。また25年3月期の業績見込みを好調としたことも影響しています。
〇総括
大林組は最大手建設会社5社(スーパーゼネコン)の一角で、関西発祥で関西方面に特に力を持っている企業です。大型建築や土木に実績のある企業で、都市開発にも強みを持っています。主な収益源は建設によるものですが、近年では不動産開発にも力を入れています。
配当は10年以上減配がなく安定しています。利益が一時的に落ちた時も減配をしなかったため、企業の安定配当に対する意識も高いと思われます。また中期計画では配当金額の目安として、DOE5%程度を掲げました。この数値は以前中期計画で掲げていたDOE3%を上方修正したもので、今後も中長期的な利益状況に応じて数値を変更していくとしています。
ただDOE5%とした2023年度からは配当性向が70%近くに上がっており、今後の利益は上昇を見込んではおりますが建設業界は業績が景気にも影響されるため、DOEを導入していても減配となる可能性は捨てきれません。
とはいえ長年減配無しで配当を続けてきた企業で、コロナ禍のような危機でも減配せずに乗り越えた企業でもあるため、今後も安定配当が続く可能性は高いと思われます。現在の利回りは4%程度ですが、今後また配当方針が変われば株価の上昇が予想されるため、業績好調を予想するのなら今の内に購入しておくのも一つの手だと思います。


