〇3行で銘柄解説
・15大財閥起源の歴史ある中堅化学メーカー
・増配は少なくも毎年安定した配当で利益も安定
・4~5%の配当利回りが狙える安定高配当株
〇会社概要と配当基準日
日本曹達は苛性ソーダや農薬、半導体材料などを扱う中堅化学メーカーです。戦前は15大財閥の一つである日曹コンツェルンを生成し、「大平洋金属」「三和倉庫」「三菱伸銅(現・三菱マテリアル)」はその会員企業でした。
1913年に当時の京都帝国大学理学部助手だった中野友禮が電解ソーダ法の技術を開発し、その技術を基に1920年に日本曹達を設立しました。苛性ソーダ製造の他にも芋づる式に事業を拡大していき、先述の通り日曹コンツェルンと呼ばれる企業群を作りましたが、重化学工業分野の企業群であったこともあり、戦後GHQによって15大財閥に指定され企業群は解体されます。
ただその後も日本曹達は発展を続け、現在は海外含む複数のグループ会社を保有して事業を行っています。
配当は安定しています。増配の回数は少ないですが、毎年安定した利益を上げ、無理のない範囲での配当を10年以上続けています。利回りは年度にもよりますが、4~5%くらいを狙える年もあります。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:5,290円
配当額:240円
利回り:4.53%
2024年度期初予算の段階では配当金を180円に減配していますが、これまでの安定性を見込んで2024年度も240円に配当金額を修正するものと考え、利回り4.53%と算出しました。尚、2024年10月を基準日に1:2の株式分割を予定しています。
〇配当方針
総還元性向を50%とし、安定的な配当を継続するとしています。ちなみに2022年度までは配当性向40%でした。自社株買い込みで総還元性向50%ですが、配当性向は40%程度を維持してもらいたいです。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



10年以上赤字・減配がありません。利益も十分に出していて、配当を無理している様子も見受けられません。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:1,517億円
自己資本比率:64.7%
かつての15大財閥の中心企業にしては時価総額が低いです。自己資本比率は60%オーバーと高めです。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
2022年から右肩上がりを続けてきましたが、直近では株価を下げています。配当予測を減配にしたことが関係しているのかもしれません。
〇総括
日本曹達は戦前に創業し、創業100年以上を誇る老舗化学メーカーです。事業は苛性ソーダ含むクロールアルカリ分野をはじめ、農業・医薬・環境・ICT関連にも進出しています。海外比率は40%程度です。また医薬品に使用するHPCという材料では国内シェアNo.1かつ世界シェア4割以上です。
配当は毎年安定しています。利益も毎年十分に出しており、配当も利益に余裕が持てる範囲内で行っているため、個人的には減配の可能性は低いと思います。事業投資は行っていますが、自己資本にはそこまで手を出していないのか、自己資本比率も高めです。利回りも株価に対して4~5%が狙えるので、きちんと購入のタイミングを見計らいたいです。配当方針も安定的な配当を継続するとしているため、高配当株として検討に値する銘柄だと思います。


