〇3行で銘柄解説
・独自性を発揮する大手家電量販店
・減配の過去はあれど比較的安定配当
・利回りは低めながら買い物券の株主優待あり
〇会社概要と配当基準日
ケーズホールディングスは茨城県発祥のケーズデンキを擁する企業で、国内では3、4番手の売上高を誇る家電量販店の持ち株会社です。
創業は1947年でラジオの販売・修理業を営んでいました。その後は他の企業とフランチャイズ契約の締結を進め、1997年に現在の社名であるケーズデンキに変更、2007年に持ち株会社化しました。
店舗は沖縄県を除く46都道府県に出店しており、取扱商品はビックカメラやヨドバシカメラとは異なり家電に特化しています。また他社と異なりポイントカードを発行しておらず、代わりに「あんしんパスポート」という会員カードを発行し、販売価格から直接値引きするというスタイルを取っております。企業の社風としては「頑張らない経営」「ノルマ無」など、キツいイメージのある家電量販店業界では比較的穏やかな雰囲気のようです。
配当は過去に大きな減配を行ったことはありません(2019年3月期に1.5円の減配)。配当は実質的に累進配当を目指しているため、実現を約束しているかはともかくある程度安定した配当は期待できそうです。但し利回りが高くないのが難点です。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:1,490円
配当額:44円
利回り:2.95%
配当利回りはおおよそ3%程度と、高配当株と呼ぶには少々心もとないです。但し同社は株主優待を行っているため、それを踏まえると実質利回りはもう少し上昇します。
〇配当方針
配当性向40%目標かつ、減配をしない安定的な配当を目指すとしています。実質的な累進配当です。また同社は株主優待を実施しており、ケーズデンキで使用できる株主優待券(金券)を配布しています。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



配当は割と安定しています。減配はありましたが微々たるものです。また2024年3月期はEPS(一株当たり純利益)が下がりましたが配当額は維持しています。2023年3月期以前の利益も安定しています。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:2,794億円
自己資本比率:61.4%
自己資本比率は60%以上と高めです。累進配当をするだけの資本はありそうです。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
株価は上下を繰り返しています。1~2年に1回安値が来るように見えます。直近では株価が跳ねていますが、75日移動平均線は水平で、上昇傾向は一服しているようです。
〇総括
ケーズホールディングスはケーズデンキを擁する国内3位規模の家電量販店です。家電量販店で著名なビックカメラやヨドバシカメラとは異なり、取扱商品を家電に特化するなど、他社と差別化した経営をしているように思えます。「頑張らない経営」を掲げており、その経営について書籍を出してもいます。
配当に関しては実質累進配当制を掲げおり、また配当性向40%としています。過去に減配はありましたが配当方針や減配額から判断するに、十分安定した配当を出してくれる企業だと思われます。
問題は利回りで、3%近辺と決して高いとは言えません。株主優待券を勘案した場合、実質利回りは上昇しますが、それでも大きくは変わらないでしょう。コロナ禍での株価1,000円で株式を購入できたと仮定しても、現在の配当金44円では利回りは4.4%なので、この銘柄では高い利回りはあまり期待できそうにありません。安定はしていますが、長期保有で配当を狙うのならば別の銘柄にした方がよさそうです。


