苛性ソーダと塩ビが強みのホワイト企業 東ソーの安定高配当株診断

・多くの国内シェアトップ製品を持つ、大手石油化学メーカー

・収益安定で10年以上減配なし

・利回り高く4~5%が狙える安定高配当株

目次

〇会社概要と配当基準日


東ソーは大手石油化学メーカーの一つで、塩化ビニルではアジア3位の生産量を誇ります。その他苛性ソーダや臭素などで国内シェア1位、電解二酸化マンガンとエチレンアミンでは国内唯一の生産者となっています。

同社は1935年に山口県で東洋曹達工業として設立されました。1942年には臭素を生産開始、1953年にはセメント生産にも事業を拡大しました。1987年に現在の東ソーに社名を変更します。取扱製品を増やすほか、合併や海外展開にも力を注ぎ、現在売上の約半分は海外で稼いでおります。また同社は良好な労働環境の構築にも力を入れており、東ソーのホームページではその成果がアピールされています。



配当は安定しており、10年以上減配はありません。頻繁ではありませんが度々増配もしています。また事業利益も毎年安定して出しており、配当性向も高くないため無理のある配当にもなっておりません。配当方針には明記されていませんが、今後も減配のない安定配当が狙える銘柄だと思います。利回りも悪くなく、株高の現在でも4%程度、時期によっては5%の利回りを狙うことも可能です。


配当基準日:3月末

〇直近株価と配当額と利回り

 

 株価:1,990円

 配当額:85円

 利回り:4.27%

株価次第ではありますが、高値を避ければ4%台を十分に狙えます。


〇配当方針


継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針とし、配当性向を30%程度としております。ただ過去の配当性向では30%に満たない年度が多いです。尚、株主は抽選で工場見学に応募することができます。

〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)


10年以上赤字がなく、またEPS(一株当たり純利益)以上の配当も行っておりません。事業利益に裏付けられた安定的な配当を行う企業です。

〇時価総額と自己資本比率

 

 時価総額:7,044億円

 自己資本比率:61.6%

割と高い時価総額と、高めの自己資本比率を備えております。自己資本比率から、余程経営を間違えない限りは多少の赤字には十分耐えうるでしょうし、2025年に発表が期待される中期計画では配当の拡大方針もあるかもしれません。

 

〇過去10年間のチャート


SBI証券より引用


現在は上昇傾向にありますが、大体1,500~2,000円くらいの株価に収まっています。

〇総括

東ソーは大手石油化学メーカーの一つで、塩化ビニルや苛性ソーダなど、様々な製品で高シェアを誇っている会社です。海外にも進出しており、売上海外比率は50%程度です。

同社は今後の方針として「東ソーハイブリット経営」を掲げており、石油化学など市場が大きいながらも市況に利益率が変動されやすいコモディティ事業と、高機能材料など市場は限定的ながら市況変動の影響を受けにくいスペシャリティ事業の2つを柱として、コモディティ事業で稼いでスペシャリティ事業を成長させるという戦略を取っています。


配当方針は安定的とし、配当性向は30%程度です。「減配無」などの文言はないものの、過去10年以上減配はなく、また自己資本比率も高いため、個人的には仮に赤字になったとしても一時的なものならば減配をしない可能性が高いと見ています。また昨今の株主還元強化の潮流から、2025年に制定されるであろう中期計画では、配当増額や累進配当など一層の株主還元が期待できる可能性があります。現時点でも4%近くの利回りがありますが、タイミングが良ければ5%の利回りも十分狙えます。安心して長期保有できる銘柄だと判断します。

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