〇会社概要と配当基準日
丸紅は日本の5大総合商社の一つで、みずほ銀行を中心とする芙蓉グループに属する企業です。総合商社業界では三菱商事・三井物産・伊藤忠商事に次いで住友商事と4位争いをする立ち位置ですが、紙パルプ分野・穀物分野・電力分野では総合商社でもトップクラスの事業規模を誇っています。
創業は1858年で、発祥は初代伊藤忠兵衛が麻布の持下り行商をしたことに遡ります。そのため伊藤忠商事とは発祥が同根です。弟の伊藤忠兵衛が伊藤忠商事を設立したのに対し、兄の伊藤長兵衛は1872年に伊藤長兵衛商店を設立後、1921年に丸紅商店として独立します。1955年には高島屋飯田と合併して丸紅飯田と社名が変わりますが、1972年には丸紅に社名を戻しています。1960-70年代には三菱商事・三井物産と並んで「3M」と呼ばれるほど隆盛を極めますが、その後のロッキード事件で力を失います。
かつては伊藤忠商事と同じく体育会系でイケイケの社風でしたが、この事件の影響もあり、現在では官僚的な社風が加わって「小さな三菱」「三井物産をしょぼくした」と言われる社風に落ち着きました。
配当は他の5大商社と同じく累進配当を採用しています。そのため過去は減配も行っていましたが、今後は基本的に減配を行うことはないでしょう。過去も含めて利益も十分に出しており、また三菱・三井と違って資源分野に大きく依存する事業構造をしていないこともあって、配当は安定していると考えてよいと思います。但し最近の商社株高騰の影響もあり、利回りがやや低いのが難点です。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:2,900円
配当額:85円
利回り:2.93%
投資の神様、ウォーレン・バフェット氏が日本の5大商社株を買い集めた影響で商社株が人気になり、株価が上がっています。
〇配当方針
2025年3月期までは累進配当を行うものとしています。また配当の基本方針として、中長期的な利益成長の実現による増配を目指すとしています。また隠れ優待として、丸紅竹橋本社のギャラリー無料招待券が貰えます。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



赤字でも配当は出していますが、減配をする年度もありました。しかし先述の通り、累進配当制を謳っていることからしばらくは減配しないものと思われます。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:4兆8629億円
自己資本比率:38.8%
時価総額では住友商事・豊田通商と4位の座を争っています。自己資本比率は無難です。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
2021年半ばからうなぎ上りです。業績見込み自体は2022年度が最高で、そこから2023年度、24年度と少し下がっていく見込みですが、NISAの影響かバフェット氏の影響か、株価が下がる様子はありません。
〇総括
丸紅は5大総合商社の一角で、規模は他の商社に劣りますが、電力や穀物といった一部分野では総合商社トップクラスの事業規模を誇る企業です。三菱商事のように総合的に強いのではなく、一部分野に特化しているという感じでしょうか。今後は化粧品分野や洋上風力発電などのグリーン事業も拡大していく予定です。
配当方針は累進配当を掲げていますので、減配の可能性は低く、また配当基本方針として増配を謳っていることから、安定配当・増配銘柄と見ることができます。減配の可能性は直近では低いでしょう。
但し、他の5大総合商社にも言えることですが、ウォーレン・バフェット氏が総合商社株を買い集めたことにより日米の注目を集めており、その影響もあって株価が上がり、利回りは下がっています。米国では株主還元を重視することから各商社はそれに応えようとしており、累進配当だけでなく自社株買いも行っています。
しばらくは株価が高止まりしそうですが、もしバフェット氏が商社株を引き上げた場合、株価が下がる可能性は否めません。保有するのなら、長期保有で配当金を得るのも良いですが、バフェット氏の動向なども勘案して売却益を稼ぐ方向でも考えておきたいものです。


