〇3行で銘柄解説
・三菱グループに属する大手シンクタンク
・11年連続増配の安定配当株
・現状の株価では20年累計配当金では6%安定配当株と同程度の水準
〇会社概要と配当基準日
三菱総合研究所は三菱グループに属する、5大シンクタンク(三菱総合研究所・野村総合研究所・みずほリサーチ&テクノロジーズ・日本総合研究所・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)にも数えられる大手コンサルティング会社です。似たような会社に三菱UFJリサーチ&コンサルティングがありますが、あちらは非上場かつ三菱UFJ銀行等が主要な株主で、より銀行に近いコンサルティング会社となっています。
三菱総合研究所は1970年に三菱創業100周年を記念して三菱グループ各社が共同出資して設立されました。その背景もあって、大株主には三菱商事や三菱重工業、三菱電機、三菱ケミカルなど、他の三菱系企業が名を連ねています。また設立当初は営利目的の側面よりも公共貢献の側面が強かったようです。現在では理系の研究者を多数抱えるコンサルティングとITサービスを主な事業とする会社となっており、官公庁や金融関係に強みを持っています。
連続増配年数は、2020年9月期の記念配当を除く普通配当で計算すると11年連続増配となっています。配当利回りは例年あまり高くはなりませんが、増配額は毎年ほぼ安定して10円となっており、その影響か長期保有の旨みがありそうという結果になりました。ただ株価は割と上下するので、買うタイミングは間違えないようにしたいです。
配当基準日:9月末
〇配当方針
継続的な安定配当を基本とし、連結配当性向は40%を目安としています。また同社は隠れ優待を実施しています。詳しくは下記記事をご覧ください。



〇時価総額と自己資本比率
時価総額:808億円
自己資本比率:57.3%
時価総額は日本を代表するシンクタンクの割には意外と?小さめです。対して自己資本比率は十分な数値です。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



2020年9月期に記念配当を実施したため連続増配になっていないように見えますが、普通配当ではきちんと11年連続増配となっています。増配額は毎年大体10円で安定しており、2024年9月期も前年比10円プラスの160円配当を見込んでいます。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



現時点でも20年間の配当金累計額は6%安定配当株に近い水準です。利回りは3.5%にも満たない水準ですが、増配額が安定して高めなことが配当金累計額が高くなっている要因と思われます。
〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価4,600円で6%安定配当株と同じ累計配当金額になりました。十分に狙える範囲の株価です。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
割と値動きが激しいようにも見えますが、長期的に見れば株価は概ね上昇傾向にあります。75日移動平均線を5日移動平均線がここ10年、一度も下回っていないので、75日移動平均線以下の株価になることはあまり期待できそうにありません。コロナレベルの災害時なら話は別ですけどね。
〇総括
三菱総合研究所は、三菱創業100周年の記念事業として設立された、日本におけるシンクタンクの先駆けともなる企業です。5大シンクタンクと呼ばれる他の企業はどれも金融系が発祥であるのに対し、三菱総合研究所は金融系企業発祥ではありません。但し事業として金融系に対して強みを持っています。同社は中期計画にてシンクタンク事業、社会・公共イノベーション事業、デジタルイノベーション事業、金融システムイノベーション事業の4つの戦略領域を設定し、価値提供モデルを構築することを方針としています。
配当は普通配当に関して11年連続増配中で、2024年9月期も増配予定なので12年連続増配予定です。利回りが良い銘柄ではありませんが、配当の増配額が毎年大体安定して10円と高めなこともあってか、20年レベルで長期保有する分には適当な安定配当株を持つよりも高い累計配当金を得られる可能性がある銘柄だと判断しました。
株価の上下は割と激しい方ですが、シミュレーションの結果である6%安定配当株と同等のパフォーマンスを得るための株価は4,600円と、決して狙いにくい株価ではないため、きちんとタイミングを見て購入し長期保有に徹すれば、それに合った見返りを得られる銘柄だと判断します。また、1株保有でも隠れ配当が貰えることも嬉しいポイントです。


