〇会社概要と配当基準日
セントラル硝子は業界3位のガラスメーカーです。業界分類上はガラスメーカーに分類されますが、実際は売上比率の3割程度がガラス事業で、残り7割は化成品事業です。また1936年の創業時はガラスではなくソーダ製品を取り扱う化学メーカーとして出発しました。ガラス事業は1958年に、ガラスがソーダ灰を原料にすることからスタートしました。
現在はガラス事業での売上は年々減少しており、利益も大きく出てはおりません。他方化成品事業は売上高・営業利益ともに増加傾向にあります。液晶ガラスの取り扱いが無いことが、競合のAGCや日本電気硝子と異なるところです。他方化成品事業においては素材・医療・電子など多くの分野に進出しており、半導体分野やナトリウムイオン電池の分野でも開発を進めています。
配当は10年以上減配なく続いております。配当方針にはDOEを用いて減配の可能性の低さをアピールしているほか、最近の業績好調を反映させて大きく増配傾向にあります。2022年3月期の大赤字の時も減配をしなかったことから、安定した配当を続ける会社だと見ることができます。
配当基準日:3月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:3,285円
配当額:159円
利回り:4.84%
この記事を書いているのが3月決算・来期予想が出るタイミングなので配当額は信ぴょう性の観点から2024年3月期のものを使用していますが、企業側は2025年3月期の予想配当額は170円で出しており、それが実現した場合の利回りは5.17%に上ります。
〇配当方針
株主総還元性向を30%以上、DOE(株主資本配当率)を3.6%としております。総還元性向は自社株買いも含めるので若干物足りない数字ですが、DOEを定めることで一定額の配当を担保しております。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



赤字や利益不十分の年も減配することなく配当を続けています。2022年3月度にEPS(一株当たり純利益)が大きくマイナスになっていますが、2023年度3月期に大きくプラスにして盛り返してきました。2024年度3月期だけでなく、期初予算段階では2025年度3月期のEPSも高水準の予定です。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:724億円
自己資本比率:53.6%
時価総額はあまり高いとは言えません。しかし自己資本比率は十分な数値を保っています。
〇過去10年間のチャート



SBI証券より引用
過去10年の最高値は4,000円を超えています。この記事を書いている日はストップ高となっており、3,285円でした。配当金の高さから、今後株価が上昇する可能性もあるかと思います。
〇総括
セントラル硝子は国内のガラスメーカーです、とはいったものの、創業から現在の主力製品まで化成品が担っている、実質的には化学メーカーのようなものです。
ガラス事業は年々売上が縮小傾向にありますが、企業側としてはその中で黒字を出そうと努力しています。同社は国内の他ガラスメーカーであるAGCや日本電気硝子と異なり、液晶ガラスを取り扱っていないのも、ガラス事業が弱い原因かと思われます。ただガラス業界は参入障壁が高く、世界的な寡占業界となっているため、セントラル硝子がガラス事業から撤退することは個人的には考えにくいと思っています。
他方、化成品事業は多品種を扱っており、半導体をはじめとした時流に乗った事業にも進出していることから、こちらで主に利益を上げていくスタイルになっていると見受けられます。
配当方針はDOEを用いて配当金額の安定を図っております。総還元性向30%は低めに見えますが、過去10年以上減配をしていない実績があることから、30%の数字はあくまで書面上のもので、実際は数字に関係なく安定配当を続けることが期待できると考えられます。自己資本比率も50%を超えていることもあり、また利回り5%程度を誇っていることから現時点では安定高配当株と言える銘柄だと判断します。


