水素や再生可能パワーでエネルギーに新しい風を INPEXの安定高配当株診断

目次

〇会社概要と配当基準日


INPEXは日本の最大手石油開発会社で、旧社名は国際石油開発帝石です。尚、世界では中堅規模の石油開発会社になります。2006年に国際石油開発と帝国石油が経営統合して誕生しました。合併元の会社が国策会社であったこともあり、筆頭株主は経済産業大臣で黄金株を保有しています。石油や天然ガスの開発だけでなく、水素や再生可能エネルギーの供給も行っている会社です。国内で一年間に消費するエネルギーの約1割に相当する規模の石油や天然ガスを生産している、日本にとってなくてはならない企業です。



配当は安定させようという努力が見えます。石油株は原油価格に業績を左右されやすい傾向にありますが、INPEXはここ10年で減配の回数が1回だけで、あとは配当性向を無視しているようにも見える安定配当を行っています。大きな黒字も少ない代わりに大きな業績悪化も無いのは経営の成果なのかもしれません。ただ利回りは高くはないです。


配当基準日:12月末

〇直近株価と配当額と利回り

 

 株価:2,349円

 配当額:74円

 利回り:3.15%

利回りは3%程度と高いとは言えません。ただ過去には5~6%の利回りが狙えた年もありました。


〇配当方針


総還元性向40%以上かつ配当下限30円としています。総還元性向なので自社株買いも含んでいます。

尚、株主優待を実施しています。

〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)


減配はあれどEPS(一株当たり純利益)と比較して、割と安定して配当を行っている印象です。ここ3年くらいは配当性向30%程度を目安としている感じです。

〇時価総額と自己資本比率

 

 時価総額:3兆80億円

 自己資本比率:62.5%

時価総額は3兆円と非常に高いです。自己資本比率も高めで、仮に業績が悪化しても持ちこたえられるだけの体力を持っていることが伺えます。

 

〇過去10年間のチャート


SBI証券より引用


コロナ禍の2020年を底にして上昇傾向です。ロシアによるウクライナ侵攻など、原油価格が上がる動きがあったことが影響しているのかもしれません。

〇総括

INPEXは国内最大手の石油・天然ガス開発企業で、その重要性故に筆頭株主が経済産業大臣で黄金株も保有している、国レベルで重要な会社です。石油や天然ガス以外にもクリーンエネルギーなどの事業も行っております。その事業性質故、業績が原油価格の影響を受けやすいため地政学リスクに敏感な銘柄でもあります。株価の安定を求めることはやめた方がいいかもしれません。


配当については減配はあれど比較的安定しています。ただ石油会社は業績が安定しにくいこともあってか、業績が良いからと言って大盤振る舞いするような配当はせず、持続的に配当を行うことを目標としている感じがあります。配当性向ではなく総還元性向を40%としているのも、配当を増やす方向ではなく自社株買いで投資家の要望に沿うためかと考えられます。そう考えると配当性向は当てになりませんが、高い自己資本比率もあって大きな減配もないのではと思われます。但し現状の利回りは高くないので、保有するならもっと高い配当利回りになるまで待ちたいところです。

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