株をやるにしても投資信託をやるにしても、元手となる資金は当然必要となります。
特に投資運用の場合、利益はパーセンテージで増えていくものなので元本が大きければ大きいほど利益は大きくなります。逆に元本が小さければ、利益も少額にとどまるのです。
とはいえ物価高や税率の引き上げ等、懐事情の厳しい世の中、貯蓄しようとしたところで中々できないというのが本音ではないでしょうか。
今回はそんな方に向けて、貯蓄の方法・資産の増やし方を過去の偉人から教わりたいと思います。
結論を明かしてしまうと、「天引き貯金」です。
<偉人1 本田静六>
本田静六は日本初の林学博士で、大学に勤めていた給与所得者でした。彼は造園家としても活躍しており、日比谷公園等数多くの公園の設計、六甲山の緑化など、多くの業績を残しました。また1日1ページの原稿執筆を継続し、376冊の著作を残した副業家でもあります。
そんな彼には「蓄財の神様」というもう一つの顔がありました。彼は給与の4分の1を天引き貯金し、残りの4分の3の資金で生活していました。
ある時大学への寄付を求められ、静六は大学教員としては多すぎる金額を寄付したため、周りから「けしからんことをして儲けているのではないか」と疑いを掛けられました。それに対して彼は帳簿をきちんと保管していたため、寄付した金が真っ当な労働によって得たものであると証明し、周囲を黙らせました。周りが「多すぎる」というほどの金額を貯蓄していたんですね。
そんな彼は貯蓄額が一定の金額に膨れ上がると、かつて留学していたミュンヘン大学のブレンタノ教授の勧めで、日本鉄道の株を購入します。これが値上がりし、静六はひと財産築くことができました。
その後も株や秩父の山林の売買を行い、一代で巨万の富を築くことに成功します。
晩年、静六は築いた財産のほとんどを、故郷埼玉県の育英資金創設のために寄付しました。今でも埼玉県には「本田静六博士奨学金」として彼の作った基金が残っています。
<偉人2 安田善次郎>
安田善次郎は安田銀行(のち富士銀行を経て、現在のみずほ銀行)及び安田財閥を作った事業家です。「みずほ銀行」「明治安田生命」「SOMPO HD」「東京建物」などは安田系の企業です。その優れた銀行経営の手腕から、彼は「銀行王」と呼ばれています。
彼は富山県出身ですが、千両役者(今でいう億万長者)になることを夢見て江戸へ出ます。そして玩具問屋で働きはじめます。その後独立して両替商を営み、一生懸命に働きます。彼の商売への誠実さは次第に顧客からの評判を呼びました。
この頃、彼は千両役者になるために3つの誓いを立てます。
①他人の力を当てにせず、一生懸命働く
②嘘を言わない。誘惑に負けない
③生活費や小遣いなどの支出は収入の十分の八以内に止め、残りは貯蓄する
彼の商売は、トラブルもありましたが無事軌道に乗り、現在の価値にして三千万円ほどを稼ぐようになります。
その後彼に、千両役者になるチャンスがやってきます。明治新政府の発行した太政官札の引き受けの依頼が来たのです。当時の明治政府はまだ世間的な信用がなく、信用のない発行元が出した太政官札の引き受け手はどこもいませんでした。
彼はその太政官札を安く大量に引き受けました。太政官札は世間の予想通り額面割れを起こしましたが、善次郎は動じません。
「必ず明治政府の権威が確立し、太政官札が等価交換される日が来る!」
そして辛抱強く持ち続けた結果、太政官札は彼の読み通り等価交換がなされるようになり、善次郎は莫大な富を得ることに成功しました。
<本多静六と安田善次郎の共通点>
A.所得から予め20~25%の金額を別途貯金し、残りの金額で生活する
これがお金の貯め方の極意です。
バブルの時代には給与を貰ったら全て遊びに使ったという人がいたそうで
すが、今の世の中ではそれは珍しいかと思います。
しかし、給与が入ったらそれで生活し、残った資金を貯蓄に回すというや
り方をしている人はいるのではないでしょうか。
それでは決まった金額が貯蓄に回されないため、貯蓄額の計算が立たなか
ったり、思ったほど貯蓄ができていなかったりします。
「余ったら貯蓄する」のではなく、「始めに貯蓄額を決めて天引きし、残
った額で生活する。」これが貯蓄の極意です。
B.貯まった資金を投資に回す
これも偉人二人の共通点ですが、時代背景が今とは異なるため、そのまま
流用することは難しいでしょう。しかし多くの資金を得ようとすると、投
資はどうしても避けては通れない道であることを、二人は教えてくれてい
ます。
現在は投資信託でコツコツ資金を運用するやり方もあれば、FXで一発狙っ
てやるみたいな資金の増やし方もできますので、自分に合ったやり方を模
索してみてください。
今回は貯蓄と投資を主に取り扱いましたが、もし億万長者クラスの大金持ちになりたければ、事業家として
企業を経営されることをお勧めします。
安田善次郎も銀行を経営していましたし、現代でも孫正義氏や堀江貴文氏など、1億2億では収まらないほど多くの資産を保有しているのは事業家です。資本家と言っても構いません。資本家として経済の世界で大成功
をしたくば、ぜひ事業を起こしてみてください。
<参考文献の紹介>
尚、今回の記事で紹介した内容は下記文献から引用しております。
・「私の財産告白」 本田静六
・「本田静六 若者よ、人生に投資せよ」 北康利
・「銀行王 安田善次郎ー陰徳を積むー」 北康利
・「インベスターZ 18」 三田紀房
特に「私の財産告白」については資産形成の古典で、現代文で書かれていて読みやすいだけでなく現代にも通ずる内容となっており、個人的には資産形成のバイブルとも言える本です。このブログでも「私の財産告白」の考えを参考にした内容を多々含んでいます。
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私の財産告白(実業之日本社文庫) [電子書籍版] 本田静六 660円
また私はノンフィクション作家北康利氏のファンでして、「白洲次郎 占領を背負った男」を含め、同氏の本を多く読んでいます。
詳細な調査に裏付けされながらも読みやすい文章で、本の厚さの割にすんなり読むことができます。こちらも興味がありましたら是非読んでみてください。






銀行王 安田善次郎ー陰徳を積むー(新潮文庫) [電子書籍版] 北康利 649円






本多静六 若者よ、人生に投資せよ [電子書籍版] 北康利 2,200円






インベスターZ(18) [電子書籍版] 三田紀房 495円 (本田静六関係の回)