〇会社概要と配当基準日
フルキャストホールディングスは人材派遣会社「フルキャスト」等を傘下に置く、人材派遣・人材紹介の持ち株会社です。事業内容は短期業務支援や営業支援、警備業務請負などの人材派遣で、短期業務支援事業が主力となっており売上の8割以上を占めております。但し、日雇いの派遣業務からは撤退しています。アルバイト紹介やアルバイト給与管理代行を行っています。
フルキャストホールディングスは1990年にリゾートワールドとして設立され、1992年にはフルキャストに社名を変更しました。当初から短期業務請負業を営んでおり、そこから一般労働者派遣業、人材アウトソーシング事業、職業紹介事業やコンサルティングにまで事業を広げました。以降も人材に関わる様々な事業会社を設立し、2008年10月に現在の純粋持ち株会社制度を導入、フルキャストホールディングスを設立しました。東証一部へは2004年に上場しています。連続増配年数は10年です。
配当基準日:12月末
〇配当方針
総還元性向50%を目標としています。10年連続増配中であることはあまり気にしていないようです。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:568億円
自己資本比率:65.2%
自己資本比率は比較的高めです。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



増配平均額は5円。2022年に14円と多めに増配しています。配当性向は毎年30%台です。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



「ゑ?高くね?」と一目見て思いました。20年間の配当金累計額は6%安定配当株をブッちぎり8%安定配当株の水準に届こうかというレベル。どこかで計算を間違えたのではないかと不安になるレベルです。
〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価1,875円で6%安定配当株と大体同じ累計配当金額になります。
〇過去10年間のチャート



※SBI証券より引用
異常とも言える20年累計配当金額の犯人は株価でした。下落傾向にあり今も安い水準にあります。念のため、PERは約10倍です。2024年12月の業績も例年と特に大きく変わらず黒字見込みです。
〇総括
フルキャストホールディングスは人材派遣・人材紹介の企業を傘下に持つ持ち株会社です。短期業務支援事業が主力となっております。今後の方針としては、DX化の推進による事業の拡大、新規出店、M&Aによる事業ポートフォリオの成長を掲げております。
配当は10年連続増配中で、2024年3月期も増配予定なので11年連続増配予定です。総還元性向は50%を掲げていますが、配当性向は毎年30%台なので、配当性向40%と自社株買いで目標を達成しようとしているといったところでしょうか。20年累計配当金額は非常に高いです。これは平均増配額もさることながら、一番の原因は株安にあります。ただ2024年12月度の業績予想は2024年3月31日時点の公表では例年と大差ない水準での黒字のため、一過性のもののように思えます。購入を検討しても良い銘柄だと判断します。


