〇会社概要と配当基準日
長瀬産業は化学品専門商社首位の、長瀬一族によるオーナー企業です。専門商社ながら、商品の製造や加工、開発も行っております。海外比率は約70%で、海外売上の約7割はアジアからのものです。扱う商材はセグメント別に分けて5つと多く、かつそれぞれバランスの良い売上配分となっております。また中期計画では新規事業としてバイオ部門への進出を図っています。
長瀬産業は江戸時代末期の1832年に京都で染料や澱粉を取り扱う店として創業しました。また1893年には化学品専門商社2位の稲畑産業創業者である稲畑勝太郎と共に京都染織工業雑誌社を設立し、染料に関する雑誌を創刊しました。1901年にはフランスに出張所を開設し、以降ロンドンやニューヨーク、中国などにも進出します。その後はコダック社やゼネラル・エレクトリックなど海外の大手企業とも取引も経験し、現在へと至ります。連続増配年数は13年にわたります。
配当基準日:3月末
〇配当方針
継続的な増配を行うとしています。増配を配当方針とする珍しい企業です。また同社は株主優待も行っております。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:2,941億円
自己資本比率:49.3%
時価総額は専門商社ではこんなもんでしょうか。自己資本比率は十分です。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



2023年に16円の増配を行ったため、平均増配額が大きくなっています。全体的には2~3円が平均増配額といったところです。配当性向は大体30%くらいです。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



5%安定配当株の配当水準に届きません。平均増配額は株価に対して悪くないと思うので、株価が低い時に狙えば結果も変わってくるでしょう。
〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価2,025円で6%安定配当株と同じ累計配当金額になります。チャートを見ると傾向的にやや狙いにくい印象を受けます。
〇過去10年間のチャート



※SBI証券より引用
と、いうことでチャートです。コロナショックの2020年に1,000円近くまで下がってからは右肩上がりを続けています。移動平均線が3本とも上向きのため、株価が落ちてくるビジョンが現状では見えにくいです。安値で買いたいところですが、少々時間がかかると思われます。
〇総括
長瀬産業は化学品専門商社首位の企業で、商社機能の他にも素材の開発・製造・加工も行っております。中期計画では高成長・高収益が見込める分野としてフード部門、半導体部門、ライフサイエンス部門に注力予定です。
配当は13年連続増配中で、2024年3月期も増配予定なので14年連続増配予定です。配当方針としては珍しく増配の継続を掲げている企業です。過去の配当性向を見ると30%程度なので、利益が上がれば大幅な増配も期待できそうです。ただ同社の株価はコロナショック以降右肩上がりの状態で、6%安定配当株と同水準の配当金を得るための株価まで下がるには時間がかかりそうです。2016年と2020年に1,200円まで下がっていて、この水準まで下がれば大きな配当金を得られるのですが、当分は期待薄といったところ。待っても良いですが他にも連続増配株はありますので、そちらで着実に稼いだ方が良いと個人的には思います。


