高配当投資で1億円作る方法とその可能性

昨今本屋や動画を見ていると、「高配当投資」なるものをよく見かけるようになりました。

「どれ、どんな投資法が見てみよう。良さそうならパクってみよう」と、さっさと金持ちになりたい私は書籍を読んだり動画を見たりして学びました。

今回は「高配当投資」というものがどのようなものか、それについて私がどのように思ったのかについて語っていきたいと思います。


目次

高配当投資とは

ツナグバ

高配当投資とは、高配当株に投資をして高い配当金を得つつ、株価が上がったら株を売却して、下がったらまた買いなおすというものです。


  1. 利回り3%以上の高配当株に投資をする
  2. 高配当株から配当金を得て、その配当金でまた高配当株を買う
  3. 高配当株の株価が上がったら売却する。
  4. 暴落などで株価が下がったら、再び高配当株を購入する
  5. 1~4を繰り返す


この手法を用いて、短期間で1億円を得ようとする投資法です。




高配当投資って儲かるの?

高配当株投資をすると短期間で1億円作れるのか、もし作れるなら是非ともやってみたいと思い、シミュレーションをしてみました。

私が1億円を作る手段として考えているやり方は下記の記事を参考にしていただければと思います。


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要するに、新NISAの枠1,800万円で投資信託を購入してひたすら待ちましょうという投資法です。

今回は私の投資法と比較するために、元本は1,800万円とすることにしました。

また暴落についてですが、主だった大暴落を調べると以下の様なものが出てきました。


・1972年 オイルショック

・1987年 ブラックマンデー

・2000年 ITバブル崩壊

・2008年 リーマンショック

・2020年 コロナショック


2015年のチャイナショックのようなものもありますが、大雑把に見ると大体10年周期で大暴落が来ていることになります。よって今回のシミュレーションでも、10年ごとに大暴落が起きることとします。


あとは高配当株のパフォーマンスと利回りについてですが、実際の高配当株でパフォーマンスを考えてみた時に、2008年のリーマンショックから2018年辺りまでの約10年間を見た時に、東京海上HDと日本製鉄、三井住友FG、住友商事、UBEは大雑把に10年で2倍、JT、SBIHDは2~3倍と、タイミングにもよりますが概ね2~3倍程度に株価が上がっています。72の法則から考えると年間成長率は7.2%になりますね。



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ただ成長率7.2%で毎年計算するのは面倒だったので、10年ごとの暴落に合わせて元本が2倍になることとしました。


また高配当株から得られる配当金は、暴落直後は株価が下がっているのでその1年は7%、ほかの年度は4%の利回りと仮定しました。


以上のシミュレーション条件をまとめると以下の通りです。

・元本は1,800万円からスタート

・配当金は再投資する。

・大暴落時を除いて、配当利回りは4%とする

・10年に一度、大暴落が起きる

・大暴落の1年前には元本の2倍の資金を売却益として元本に加える

・大暴落時には元本全額で高配当株を購入する。その際の配当利回りは7%となる。

・配当金には20.315%の税金をかけるが、売却益には税金をかけない

 (売却益が2倍以上になる株が存在する可能性についての優遇措置)


以上の条件でシミュレーションをした結果が、下の表です。


高配当株投資シミュレーション表


2030年、2040年、2050年に大暴落が起き、その前年に保有している高配当株を全部売却して大暴落時に再び高配当株を買い戻すというやり方です。


2030年の場合、2029年次には元本の運用期間が約5年だったので2倍ではなく1.5倍の高配当株売却益としました。2030年には元本1,800万円+今までの配当金=約2,100万円に売却益900万円と前年の税後配当金671,185円を加えて、約3,073万円に元本が膨れ上がる計算になります。

この元本を2030年の大暴落時に高配当株に再投資します。この時の高配当株利回りは7%なので、約3,073万円×7%=2,151,005円の税前配当金が得られる計算です。

そしてまた翌年からは配当金約215万円を再投資しますが、高配当株利回りは4%に戻っているとして計算します。

これを繰り返すと、2040年で元本が約8,127万円、2050年(約30年後)には元本が2億円を超える計算になります。


ちなみに「eMAXIS 全世界株式投資信託」に新NISAを使って投資をした場合、下記のようになります。

全世界株式インデックスファンド資産増加シミュレーション


えらく大雑把な比較をするとして、2040年=投資20年目、2050年=投資30年目とした場合、


・2040年(投資20年目時点)

 高配当株投資 約8,128万円

 投資信託投資 約6,490万円


・2050年(投資30年目時点)

 高配当株投資 約2億1,498万円

 投資信託投資 約1億3,754万円


ちなみに真面目に比較するとして、2030年(高配当株投資7年目)で比較すると


・2030年(投資7年目)

 高配当株投資 約3,073万円

 投資信託投資 約2,445万円


上記のようになり、投資信託投資の完敗です。



差が付いた原因は何?

高配当株投資と投資信託投資で大分差が付いたわけですが、高配当株投資も実はやっていることは投資信託投資と変わりません。投資信託投資も元本に毎年の配当金を再投資して運用しています。元本に配当金を再投資して、あとは株式自身の成長に任せることで利益を増やすという意味で、本質は同じなのです。


ではなぜ2つの投資方法でここまで差が付いたのでしょうか。


理由は3つあります。


  • 高配当株投資は最初から1,800万円全額を投資して運用したから

株の成長は足し算ではなく掛け算で増えていくものですから、始めから多くの資金を投下できる方が増え方も大きくなってきます。投資信託投資では新NISAを使用するという条件があるため、毎年360万円ずつしか投資できず、1,800万円投資できるのが5年目まで長引きました。その間にも高配当株投資は元本の大きさを活かして成長を続けられたのです。

  • 再投資に回す配当金の金額が大きかったから

株本来の成長率は、高配当株投資が7.2%、投資信託投資が7.8%と大差ありません。ただ再投資に回す配当金は、高配当株投資は税後でも3%近くあり、かつ暴落時には5%以上の利回りがありました。そのおかげで再投資に回す配当金が大きくなり、その分だけ運用する元本を増やすことができました。

一方投資信託投資の方ですが、実際のデータは出ていませんが同じマザーファンドのETFから察するに、再投資に回す配当利回りは1%程度です。高配当株投資の方が再投資による複利の恩恵を圧倒的に受けていたということになります。

  • 安い時に一気に買っていたから

投資信託投資の方はドルコスト平均法と言って、株価が高い時も安い時も一定額を買い付けるという方法をとっています。そのため株価が安い時には購入できる株数が増えますが、逆に高いときも株を買い付けていることになります。

一方高配当株投資の場合は、株価が大暴落を起こしたときにしか株の購入を行っていません。株が安い時にだけ有り金全部投資して買っているので、その分配当利回りも高くなりますし、保有株の株価が10年で2倍近くになるというパフォーマンスを得ることができるのです。



高配当株投資のメリット・デメリットって何?

以上の結果を踏まえたうえで、高配当株のメリットとデメリットを整理します。


<メリット>

 ・投資信託投資よりも早く大きな資金を得ることができる

 ・生活で何かあった時に、配当を再投資しないという選択が取れる

 ・高配当株に投資しているため、高い配当金を得ることができる


<デメリット>

 ・運用銘柄数が投資信託より少ないため、株価成長率のばらつきが大きい

 ・いつ暴落するかが分からない



高配当株投資のメリットは、上手くいけば投資信託投資よりも早く大きな金額を得ることができることです。また配当金として一度手元に入ってくるため、もし生活で資金が必要になったときに一時的に高配当株投資を中断し、得た配当金を生活に使うことができることもメリットになります。


その一方、高配当株投資では分散投資をするにしても投資信託には及ばず、その分だけ株価の成長率にばらつきが出ます。大きく成長する分には良いのですが、逆に大きく株価が下がることもあるわけです。


それを防ぐために暴落時で株価が底値にある時に株を大量買いして、基本的に株価が上昇するしかない状況を作っている訳ですが、暴落はいつ起きるか分かりません。今回のシミュレーションでは暴落を事前に察知し、株価が高値にあるときに売り抜けることができることを想定していましたが、暴落に巻き込まれて保有株を売りそびれる危険性も持っている訳です。


とはいえ高配当株に投資をしている訳なので、暴落時に売りそびれたとしても一定の配当金が入ってくるのは安心材料ですね。



結論

以上より、高配当株投資は上手くいけば短期間で大きく資金を増やすことができる一方、暴落のタイミングを見計らって上手く株の売買をしなければならない、初心者にはやや難しい投資方法であるという印象を受けました。


ただし日本株でやる分には、暴落時にはストップ安と言って一日の取引でこれ以上株価が下がらないというリミッターが証券取引所によって設けられているため、そこは安心材料かつ暴落の判断の一助になるかと思います。


また株価の成長以外にも高配当株による高い配当金が得られるのも良い点ではあります。但しその場合は高配当株投資で資金を大きく増やすという趣旨には反します。


高配当株投資で資金を増やす場合は、数年に一度の株価暴落を上手く捉えて売買を行わなければならないので、そこは手間かつリスキーです。その点では投資信託投資の方が安定していて簡単な投資方法だと思います。ただ個別株を自分で選んで投資をするという楽しさと、大量の配当金が入ってくる嬉しさがありますね。


もし高配当株投資法を行う場合はその性質上、個別株の売買を何度か行うことになります。それを踏まえると証券口座は株式の売買手数料が無料のSBI証券か楽天証券が良いかと思います。下の記事から各証券会社の特徴を踏まえたうえで、挑戦してみてください。


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かめはち

かめはち

資産運用初心者向けに情報を発信中。資産運用歴10年以上、資産運用に関する本は100冊以上読破。増配株・高配当株での配当生活を目標に資産を増やすべく運用中。


大学で金融を専攻後、新卒から投資信託で資産運用を始め、NISAやiDeCoの活用、ETFや個別株にも手を出す。

一時期高配当株にハマり、高配当株戦略を通じて毎年不労所得で税後120万円(月10万円)の安定した収益が手に入る体制を作り上げる。

大企業の子会社で7年間、合併対応を含めた多額の資産を伴う会計処理や財務分析、税務処理を担当。
経理部会計課では課長補佐として中心的な役割を担い、多岐にわたる業務を幅広く経験。

著書に「年収400万円から資産3,000万円を達成!ゼロから始めるサラリーマン投資術」など。

金融関係本の読書量と月10万円の不労所得を築き上げた実体験に基づいた、初心者でも安心して始められる資産運用の方法を提供します。


趣味は読書、野球観戦、鉄道、将棋など。日商簿記検定3級、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、資産運用検定3級保有。

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