〇会社概要と配当基準日
コムシスホールディングスはNTT系列のキャリア向け電気通信工事大手3社の一角で、ネットワーク工事に強みを持っています。売上の内訳としては、NTT関連の工事で約40%、NTT以外の電気通信事業者向け工事で10%と、電気通信工事で約半分を占めております。残りはITソリューション事業と、社会システム関連事業となっております。建設業の中でも特殊な業界のため知名度はありませんが、準大手ゼネコンクラスの売上高等規模を誇る会社です。尚、大株主にNTT関連の会社は存在しません。
コムシスホールディングスは傘下に日本コムシスを中心とした複数の事業会社を保有しており、2003年に複数の会社の純粋持ち株会社として設立され、同時に東証一部に上場しました。構成する会社で一番の歴史を持つサンワコムシスエンジニアリングは1947年創業です。連続増配年数は10年です。
配当基準日:3月末
〇配当方針
配当金だけでなく自社株買いも含めての数値ですが、総還元性向70%を目安としており、配当性向はともかく株主還元についても意識がうかがえます。過去の配当性向を見ると、大体30%程度です。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:4,289億円
自己資本比率:72.9%
時価総額は設備工事の業種48社中2位です。自己資本比率は70%超と高めです。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



増配額は測ったかのように5円刻みです。平均増配額は高めで安定しています。配当性向は2023年を除くと大体30%程度です。ただ2023年だけ配当性向が60%以上になっているのは、それだけ増配への意識が高いからのように思えます。実際、統合報告書の中で財務部長のコメントで、連続増配年数について言及がありました。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



現時点で5%安定配当株と大体同じくらいです。利回りが低めなのが原因でしょうね。
〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価が3,050円まで下がると、6%安定配当株と同じ累計配当金が得られる計算となっております。
〇過去10年間のチャート



※SBI証券より引用
通信インフラ関係の会社のためか、大体2,500~3,500円の間を行ったり来たりしています。3,500円が一つの天井になっているのでしょう。狙うなら2,500円くらいまで下がったところを買いたいです。
〇総括
コムシスホールディングスは2003年に複数の会社を傘下に純粋持ち株会社として設立された、NTT系列の通信電気工事会社で、規模的には準大手ゼネコンなみとなっています。NTT関連の工事が売上の40%を占めているのも特徴の一つです。
配当は10年連続増配中です。配当性向には言及はありませんでしたが、過去大体30%程度で推移しています。また2023年の配当や統合報告書のコメントから、連続増配に対する意識のようなものを感じることができました。現状では株価が高値圏にあることから連続増配株としてはやや魅力に欠けますが、平均増配額は高めで株価も割と上下することから、ある程度安値で仕入れることができれば有望な連続増配株になります。連続増配株として長期保有するのならば、株価の動向を注視しておきたいところです。


