〇会社概要と配当基準日
アイカ工業は化粧板などの建築材料や接着剤を製造・販売している名古屋の会社です。特にメラニン化粧板では国内首位のシェアを誇っているほか、不燃機能を持たせた壁面材にも強みを持っています。
同社は1936年創業で、国内でユリア樹脂を用いた接着剤を開発した最初の企業になります。今後の方針として海外比率を50%まで高めることを中期計画で上げておりますが、積極的なM&Aや海外進出の結果、2023年時点でその目標は達成されております。連続増配年数は14年で、2024年3月期も増配予定なので15年連続増配となる予定です。
配当基準日:3月末
〇配当方針
累進配当を基本方針としています。同社は25年連続で減配はありません。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:2,266億円
自己資本比率:58.5%
住宅設備・機器の業種において、時価総額は4位となっています。自己資本比率も高めです。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



2017年から配当性向が50%を超えるくらいとなり、最近では60%を超える年も出てきました。平均増配額は7.89円ですが、これは2017年に39円の増配をしたことが大きく影響しているものと思われます。配当性向の高さから考えても、大きな業績向上が無い限りはしばらく増配額1円程度が続きそうです。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



現状の株価でも5%利回りの株の配当総額を20年後には上回る計算です。
〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価3,200円で6%配当株を超えます。ただし上でも述べたように、今後の増配額が暫く1円程度となるようなら6%配当株を超えるのは大分厳しくなります。
〇過去10年間のチャート



※SBI証券より引用
株価は割とジグザグしています。安い時だと3,000円くらいで買えそうです。2016年から2019年にかけて右肩上がりで株価が上昇していますので、現在の株高の状況では将来的に上値の4,500円まで上げるかもしれません。ただ個人的見解では3,600円程度で落ちてきそうと思っています。
〇総括
アイカ工業は建築材料や接着剤を主とした建材・化学メーカーです。不燃性の壁面材料やメラニン化粧板に強みを持っています。M&Aにも積極的で、海外進出を図ることで業績向上を目指しています。
同社の配当は25年連続減配無で、累進配当を基本配当方針としている、株主にとっては頼もしい企業です。連続増配年数も14年と長く続いています。但し、EPSはここ最近横ばいで、配当性向も高く、増配額も1円が続いていることが懸念点となっております。2017年のようにドカンと増配額を増やす年があれば連続増配シミュレーションも現実味を帯びてきますが、現状ではしばらくそれはなさそうです。アイカ工業においてはまず収益性を上げてEPSの向上を目指すことが課題であり、それができれば連続増配株として保有できる銘柄と言えます。今後の業績次第で保有に値するかが決まりそうです。


