〇会社概要と配当基準日

小林製薬はトイレタリー用品や医薬品を扱う、化学メーカーです。明治期に創業して、今でも小林家が経営に関わっている同族企業です。「製薬」と名前が付いていますが、製薬はほとんど行っておりません。
主軸となっているのは家庭用品で、芳香消臭剤の分野で特に強みを持っています。「あっ、小林製薬!」のCMや「小林製薬の糸ようじ」はTVメディアで有名で、商品名でも「熱さまシート」や「のどぬ~るスプレー」など、優れたセンスを発揮しており、筆者が大学時代に所属していた商品名・広告コピーのゼミで取り上げたこともありました。連続増配年数は24年と長期です。
配当基準日:12月末
〇配当方針
安定した配当を継続していくことを表明しています。尚、同社は株主優待を行っております。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:5,365億円
自己資本比率:79.1%
トイレタリー・化粧品部門で時価総額5位です。自己資本比率は高めです。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



増配額の平均は6円程度で安定しています。EPS以上の配当もしておりません。配当性向は毎年大体30%程度。株価が高めのためか、利回りは低めです。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



現状の株価では5%安定配当株にも遠く及びません。主には利回りの低さが災いしているものと思われます。
〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価2,700円で6%配当株に追いつきます。ただその場合の利回りは3.74%となります。同社は過去10年ではそのレベルの利回りを記録したことがないことや、チャートでも見ますが株価は高めで安定していることからあまり期待できそうにありません。
〇過去10年間のチャート



※SBI証券より引用
上の株価シミュレーションでも述べましたが、全体的に株価は高めです。最近では約7年ぶりに株価6,000円近くまで下がってきましたが、それでも利回りは2%にすら及びません。
〇総括
小林製薬は芳香剤に強みを持つ化学メーカーで、日用品を扱っていることや特徴的な商品名、CMのキャッチーさもあって有名な企業です。同社は明治期から続いている同族経営の企業です。経営も安定しております。
連続増配年数は24年と長く、配当性向も30%程度、増配額も悪くないように思えますが、株価が高いせいで利回りが低く、その結果として長期保有でも恩恵を受けにくい銘柄になってしまっています。株価が下がる見込みがあるならそれを待つという選択ができますが、過去10年の株価を見ている限りだとそれも期待できそうにありません。配当狙いで保有をするのならば、同社の株よりも安定高配当株を長期保有した方が良いと思われます。


