〇会社概要と配当基準日
アサヒグループホールディングスはキリンホールディングスと並んで国内のビールでトップクラスのシェアを誇るビールメーカーです。「スーパードライ」は有名でしょう。傘下に「十六茶」や「三ツ矢サイダー」のアサヒ飲料や、「竹鶴」や「ブラックニッカ」のニッカウヰスキー、その他食品事業にも展開しています。海外比率は大手ビールメーカー4社では飛びぬけていて約6割です。
アサヒグループホールディングスは戦前の大日本麦酒株式会社を構成していた企業の一つで、1949年にサッポロビールとともに同社から分離され、朝日麦酒となりました。戦後しばらくはキリンビールが強く、朝日麦酒のシェアは一時期10%を割るほどでしたが、1987年に発売した辛口生ビール「スーパードライ」が大ヒットしシェアを伸ばし、現在では日本ビール市場の35%前後のシェアを持っていてキリンビールとトップを争っています。
連続増配年数は16年です。
配当基準日:12月末
〇配当方針
「配当性向35%程度を目途とした安定的な増配」としています。増配の文字があることから、今後も配当金が増えていくことが期待できそうです。
尚、同社は株主優待を行っており、株主様限定醸造ビールなどを貰えます。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:2兆7,591億円
自己資本比率:45.5%
時価総額は飲料メーカートップです。自己資本比率も問題ありません。
〇過去10年間の配当とEPS(一株当たり純利益)含む平均等基本情報



毎年配当金の額はEPS内に収まっています。ただ有名かつ優良企業なだけあって、株価が高めなため、利回りは高くありません。
〇比較込20年シミュレーション
投資額を1百万円として、平均増配額から予想した今後20年の配当金累計を、利回り6%と5%の場合と比較した結果が下の表となります。



利回りから考えて予想できるように、低めの累計配当金額です。平均増配額は悪くないのですが、現状では4%安定株の方が20年間の配当金は高くなります。
〇6%配当と同額を達成する株価シミュレーション



株価3,400円で6%配当株に追いつきます。現在の株価から考えるとかなり厳しい水準です。市場の大暴落時くらいしか仕込む機会はなさそうです。
〇過去10年間のチャート



※SBI証券より引用
コロナ禍を考えても、割と株価が上下しているように感じます。今が2018年以来の高値水準にありますね。2018年ではここから4,500円近くまで下がりましたが、今回は日本株が株高にありますから6,000円を超える可能性もありそうです。
〇総括
アサヒグループホールディングスは日本トップクラスのビールメーカーです。辛口生ビールは他社が持っていないコンセプトで商品の差別化が図れているように思われますし、海外へも積極的に進出しているので、海外で同社のビールが受け入れられれば一層の成長が期待できそうです。
ただ配当面については正直旨みに乏しく思えます。毎年の増配額には文句はありませんが、いかんせん株価が高い。そのため同社の株の成長を待つよりも6%安定株や5%安定株を購入・保有した方が20年単位で見れば特になると思われます。


