〇会社概要と配当基準日
AGCは日本トップの規模を誇る、三菱系のガラスメーカーです。若い世代の方にはCMの影響から化学メーカーのイメージがあるかもしれませんが、旧社名は旭硝子と言います。とはいえガラスの売り上げは全体の45%程度で、化学製品は約40%、あとは電子製品やセラミックスといった総合素材メーカーのようになっています。
創業は1907年で、日本初の窓ガラスの本格的生産に成功した企業です。また1917年にはソーダ灰の製造を日本で初めて行いました。創業者は三菱財閥の創業者一族である岩崎家の2代目社長、岩崎弥之助の次男である岩崎俊弥です。三菱系なのに社名を「三菱硝子」にしなかったのは、創業者一族の岩崎家は、次男以下を三菱財閥本社に入社させなかったため、「三菱」の商号が使えなかったという説があります。
板ガラスでは世界シェアトップ級、液晶パネル用ガラスでは世界2位を誇る、日本を代表するガラスメーカーです。その他化学品では塩化ビニル樹脂やフッ素樹脂で世界的なシェアを誇っています。海外比率は約70%です。
配当基準日:12月末
〇直近株価と配当額と利回り
株価:5,424円
配当額:210円
利回り:3.87%
昨今では株高の傾向がありますが、それでも4%近くの利回りを保っており、高配当銘柄と言って良いかと思います。
〇配当方針
安定的に連結配当性向40%としております。株主還元を着実に実施することもホームページに書かれていますので、金額はともかく配当はある程度期待できそうです。
〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)



2022年は赤字でしたが、前年と同じ額の配当金を出してくれています。EPSに関係なく11年間減配がないことを考えると、減配の可能性の少ない、安定して配当を出してくれる企業に思えます。
〇時価総額と自己資本比率
時価総額:1兆1658億円
自己資本比率:49.0%
日本を代表する素材メーカーなだけあって、時価総額は1兆越えです。自己資本比率も高めです。
〇過去10年間のチャート



※SBI証券より
コロナショックの2020年を底に上昇し、2022年に一旦4,500円近辺に落ち着きました。それ以降はじわじわと株価を上げてきています。6,000円のラインが上昇の壁になりそうですね。
〇総括
概要でも書いてきた通り、AGCは日本を代表するガラスメーカーです。ガラス業界は製造に大規模設備が必要になるため、世界的な寡占業界となっています。ただガラスで大きく稼ぐことは難しいのか、日本では日本板硝子を除き、大手の日本電気硝子とセントラル硝子はガラス事業以外に化成品や電子等別素材の事業に進出しています。ですがそれはAGCも同じで、ガラスだけでなく化成品の分野でも世界的なシェアをもって存在感を示しているため、そうそう簡単に立場を脅かされることはないでしょう。また三菱グループということもあり、何かあったら三菱が助けてくれるという他力本願な希望もあります。
配当利回りは株高の中にあっても4%近くと高配当株と言っても良い水準にあります。できれば4.5%~5%くらいの利回りは欲しい所ですが、増配よりも株価の下落の方が期待できそうです。配当も累進配当の宣言や下限の設定こそありませんが、10年以上連続で、赤字の時も減配をしていないところを見ると、実質累進配当の様相を呈していると言えるのではないでしょうか。安定高配当株と認定しても良い銘柄だと思います。


