旧新日鐵住金が買収や値上げで転生 日本製鉄の安定高配当株診断

目次

〇会社概要と配当基準日

ツナグバ

日本製鉄は国内首位・世界4位の粗鋼生産量を誇る、最大手鉄鋼メーカーです。起源は日清戦争の賠償金で1901年に作られた官営八幡製鉄所までさかのぼり、1934年に民間製鉄会社と合併して国策会社の日本製鉄となりました。そして1950年の過度経済力集中排除法による会社分割を経て再び合同し、新日本製鉄となります。その後鉄鋼メーカーの再編を機に2012年に住友御三家の鉄鋼メーカーである住友金属工業と合併、新日鐵住金となります。2019年には社名を変更し、現在の日本製鉄となりました。現在世界1位の粗鋼生産量を誇っている中国宝武鋼鉄集団や、韓国鉄鋼最大手のポスコも日本の技術提供により成長しています。


新日鉄住金になってからは中々合併によるシナジー効果が生まれずにおり、赤字に転落したこともありましたが、現会長の橋本英二氏が社長に就任すると価格交渉力の強化や高付加価値品へのシフト、不要な高炉設備の停止などの改革を行い、業績が上向きました。現在はインドに高炉メーカーの子会社を設立したり、米国の伝統ある企業USスチールの買収を計画し、日米印の3か国で外部環境に左右されない安定した収益を得られる体制を築こうとしています。現在の海外売上比率は約40%です。


配当基準日:3月末




〇直近株価と配当額と利回り


 株価:3,557円

 配当額:160円

 利回り:4.50%


株価は2年程前に比べるとだいぶ高くなっていますが、それでも高い配当金のおかげで4%超の高い利回りが実現できています。




〇配当方針


業績に応じた利益配分とし、配当性向30%を目安としています。業績連動型ですね。




〇過去10年配当とEPS(一株当たり純利益)


赤字の時期もありましたが、最近は元気です。ただ2024年は配当金を160円に減配予定です。赤字の時期も10円の配当を出していることから無配はないと思われますが、毎年の配当金は業績にだいぶ左右されそうです。




〇時価総額と自己資本比率

 時価総額:3兆3,118億円

 自己資本比率:43.3%

時価総額は鉄鋼メーカーで1位。自己資本比率も満足です。




〇過去10年間のチャート

 ※SBI証券より


コロナの影響で2020年近辺に株価が思いっきり下がっています。その後2023年までは横ばいですが、2023年からは株高の潮流に乗って同社のチャートも右肩上がりです。




〇総括

日本製鉄は明治時代まで起源をさかのぼる名門企業です。高度経済成長時には圧倒的存在感を放ち、経団連会長など財界団体トップを輩出してきました。その強さは合併時にも見受けられ、住友御三家で住友財閥でも影響力の強かった住友金属工業が合併の際に「住友」の名を残して社名を「新日鐵住友」にしてくれとお願いしても拒否できるほどでした。これにより日本製鉄は住友グループの企業とはなっていません。


業績は会社概要でも述べたように、社長の辣腕もあって最近は好調です。鉄の生産量で勝負するのではなく、電磁鋼板など高い品質と技術力を持つ製品を適正価格で販売するスタイルを採っているので、海外製品との競争で後れをとることはないと思われます。但し、これはどの高炉メーカーにも言えることですが、脱炭素の流れを受けて水素還元製鉄や電炉へのシフトを強いられているのは同社も変わりありません。対策として脱炭素の目標期限が2070年のインドで高炉事業を行ってはいますが、それでも脱炭素への対策は必要不可欠です。これが上手くいくかが、将来の日本製鉄の競争優位性にもつながると思われます。


配当は業績連動型の傾向が顕著なため、毎年安定して一定額の配当を得られるかは疑問符が付きます。外部環境に左右されない利益体制を築くことを目標としていることから、それが本当に確立できれば配当金も多少の上下で済むと思われますが、現時点で安定配当株であると判断を下すことはできないと考えます。

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