小倉優子さんの「NISAは国が推してるから裏がある」との発言を受け、どんな裏があるか考えてみました。
その裏とは、「年金問題で政府に責任が及ぶのを防ぐため」です。
20~30代、もしかしたら40代の方も、将来の年金に不安を持っている方が多くいらっしゃると思います。中にはそもそもあてにしていない方も…。
皆さんご存じの通り、日本は少子高齢化が進んでおります。
そして年金制度は、個人が現役時代に積み立てた資金を引退後にくれる制度ではなく、引退した世代の年金を今働いている人が負担する仕組みとなっています。
厚生労働省の資料によると、1975年には7.7人で1人の高齢者を支えていたものが2000年には3.6人で1人、2025年、つまり来年には1.9人で1人、そして2050年には1.4人で1人の高齢者を支えなければならなくなると予想されています。

※厚生労働省 年金制度改正パンフ本文より
そこで政府が考えたのが、自己責任という概念です。
2014年に日本で初めてNISAが導入されました。その後、積立NISA、ジュニアNISAときて、2024年から新NISAとして成長枠と積立枠の2本立てのNISAがはじまりました。
また似たようなものとして、「個人型確定拠出年金」通称「iDeCo」の加入対象者が2017年から拡大し、一般の会社員も利用できるようになりました。
この動き、私にはどうしても政府の責任逃れに思えてならないのです。
2014年に始まった初代NISAはいいです。前編で書いた様に、税収目的だったのかもしれません。
でも積立NISAって税収のために作る必要ありますか?この積立NISAは投資信託とETFにしか投資できないんですよ?
さらに新NISAも、何で積立枠なんて作ったんですか?個別株含めて生涯枠1,800万円で良かったじゃないですか。
おまけにiDeCoとかいう、積立金額が制限されていて、商品も投資信託や定期預金、保険商品というリスク低めのラインナップの制度かつ、もはや隠す気もない「個人型確定拠出年金」という言葉…。
明らかに将来の年金を意識した制度だと思うのです。
一時期「老後2,000万円問題」が浮上し、後日政府は弁明を行いましたが、弁明したのは将来国民の年金が十分に払えないことを知っていたからではないでしょうか。
国の年金制度はまず確実に破綻しません。もし年金制度が破綻すれば、「日本は国民に資金を出せないくらい経済力が無い国だ」と他国から見なされ、国自体が破綻しかねないからです。
しかしながら、貰える年金の金額が現在よりも将来減っている可能性は高いと考えます。だって払ってくれる若い世代がいないから。
そうすると高齢者から「年金が少ない」と文句が出るわけですが、それに対して政府はこう切り返すつもりではないでしょうか。
「少子高齢化が進むのは分かっていたはず。だからNISAやiDeCoといった、自分で年金を作れる制度を整えたんじゃないか。これを使った人はお金を蓄えているよ。せっかく制度を作ったのに、君は何をしていたんだ。将来のことを考えずにNISAやiDeCoで運用をしてこなかったから、今金に苦しんでいるんだろう。君の自己責任だよwww。」
新NISAで投資信託を買う場合、月に5万円を積立投資すると30年で生涯上限投資枠の1,800万円に到達します。つまり30歳から積立を開始すると、ちょうど60歳で生涯上限に達するのです。
自分年金のために、世帯で毎月5万円なら出せるだろうという思惑から生涯上限投資枠が決められているような気がしてなりません。運用益を考えると、老後2,000万円はこれでクリアする可能性が高いですからね。
とはいえ、NISAにしろiDeCoにしろ、我々一般人にとっては有利な制度なので、何も考えずに積極的に使っていって問題ないと思います。使えるものは使っておきましょう。
iDeCoについては別記事で取り扱っていますのでこちらもぜひご覧ください。