新NISA(以下NISA)は取引に関する税金が非課税になることから、積極的に使っていきたい制度となっております。
しかしながら、以下に該当する場合はNISAを使わずに「特定口座」という方式で取引をした方が良いと思います。
<特定口座って何?>
証券口座には「NISA口座」の他、「一般口座」「特定口座(源泉あり)」「特定口座(源泉なし)」があります。一般的に「特定口座」という時には「特定口座(源泉あり)」を指すことが多いです。
では「特定口座(源泉あり)」と「一般口座」「特定口座(源泉なし)」の違いは何でしょうか。それは確定申告が必要か不要かの違いです。
「特定口座(源泉あり)」の場合は、株式等取引にかかる税金を金融機関が代わりに納税してくれるため、個人での確定申告は不要になります。
対して「一般口座」「特定口座(源泉なし)」の場合は自分で年間取引の損益を確認して、確定申告を行う必要があります。
特に目的の無い人はNISA口座の他に「特定口座(源泉あり)」を開設しておけばよいかと思います。その方が楽ですし。
余談ですが、一年間の内に配当金を受け取った場合、「特定口座(源泉あり)」でも確定申告をした方が税金がお得になる可能性があります。必須ではないですけどね。
<NISAを使わない方が良い場合>
短期的な売買を繰り返す場合
いわゆるトレードと呼ばれるものです。スキャルピングトレード、デイトレード、スイングトレードといったものがありますが、保有期間が一番長いスイングトレードでも数週間程度で売買を行います。一般的には個別株の売買で利益を得ることを目的とします。
これの何がNISAと合わないのかというと、取引回数が多くなるところです。取引回数が多くなると、個別株のNISA枠240万円/年をあっという間に使い切ってしまうからです。
例えば1年間の話として、トヨタ自動車の株をNISAで200万円分購入しました。その時点で個別株のNISA枠を200万円使用したことになるので240 – 200 =40万円が残りの個別株NISA枠となります。
株を購入して3日後に200万円で買った株全てを売却しました。NISAで買ったので利益が出ていたらそれに対する税金はかかりません。
「さて、一取引終えたので次は三菱電機の株を100万円分NISAで買おう!」
…そうは問屋が卸しません。先程のトヨタ自動車の取引で個別株NISAの残り枠は40万円しかないので、100万円の取引では足が出てしまうのです。
このように、NISAではその年に一度使った金額の枠を同じ年に復活されることができません。そのため何度も株の売買を行うトレードと相性が悪いのです。
株主優待を目的に個別株を買う場合
「我、株主ぞ!」
キリンHDの株を購入し、初めて株主優待としてビールが送られてきたときに私が放った言葉です。「働け!」としか言われなかった「会社」という組織から「株を持ってくれてありがとうございます。こちら株主様への贈り物です。どうかお納めください」と丁寧に対応されるのは何とも言えない快感があるものです。
そんな優越感に浸れる株主優待のある株ですが、それをNISA枠で買うのはおすすめしません。
その理由は、株主優待には税金がかからないからです。
NISAのメリットというのは「税金がかからないこと」それに尽きます。そのためできれば税金がかかる取引、例えば高配当株などにNISA枠を充てた方が効率的なのです。
株主優待の中にはQUOカードをくれる会社も多くありますが、500円のQUOカードを貰っても「税金払え」とは言われません。
対して500円の配当金を貰うと、20.315%の税金がかかり、手元には400円も残りません。そのため株主優待狙いの株にNISA枠を使うのはもったいないのです。
ちなみに、NISA枠を使って高配当個別株を買った場合を想定しますと、コロナ禍等暴落時の高配当個別株の利回りは銘柄により10%くらい(相当高いです)とし、個別株のNISA生涯投資枠が1,200万円となります。
そうすると年間配当額は1,200万円 × 10% = 120万円。月額10万円の配当金がもらえる計算になります。NISAなのでもちろん税金なしです。
これを高いと見るか安いと見るか。ちなみにNISAの生涯投資枠を使い切るには最低でも5年かかるので、暴落による株式大バーゲンセールが5年も続かないだろうことを考えると、利回り10%は正直無理かと思います。 「じゃあシミュレーションするなよ」という話ですね。すみません。
もしNISAを始められる場合は下記の記事をご参照ください。
NISAに向いている証券会社をランキングで紹介しています。


