今回は数ある金融商品の中から何を買えばよいのかを書いてみたいと思います。
今回はNISAを使うということで、基本的に中長期的に資産を増やしていくことを目的に考えたいと思います。そのために購入する商品は投資信託です。
Q1.投資信託って何さ?
→A1.たくさんの人からお金を集めて、プロがそれを運用してお金を増やす金
融商品のことです。
個別銘柄投資が1社に対して投資をするのに対し、投資信託はプロが選んだ(もしくは運用方針として指定された)複数の銘柄に投資をします。投資のプロはたくさんの人からお金(投資資金)を集めて運用し、運用の成果を投資資金を出した人たちに還元します。これが投資信託の簡単な仕組みです。



Q2.投資信託ってたくさんあるけど、何を基準に選べばいいの?
→A2.①投資信託の運用資金額の大きさ ②運用手数料の安さ ③購入手数料
が無料(ノーロード)か。
①の運用資金の大きさ(純資産総額)は、プロの立場からすれば資金が多ければその分柔軟な運用ができること、そしてその分出資者(お金を出した人)に運用益を還元しやすくできることが理由です。またその他の理由として、あまりに運用資金が少ない投資信託は、途中で廃止になる恐れがあることから重要になってきます。
②は、投資信託は持っているだけで運用に関わる人に対する対価が掛かります(信託報酬)。ですからその対価は安いに越したことはないということです。
③も②と同じ理由です。最近はノーロードの商品が多いので、特別な理由が無いのにわざわざ手数料がかかる商品を買う必要はないかと思います。
Q3.ズバリ、何を買えばいいのか教えてよ!
→A3.三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・
カントリー)」か、同社の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がおすす
めです!
三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS」シリーズは有名な投資信託です。ただ有名なだけでなく、運用資金の大きさ、信託報酬の安さも申し分なく、また当然ノーロードで購入手数料は0円です。
この2つならどちらを選んでも構いません。「全世界株式」の方は文字通り日本や米国、中国やインドなど全世界の株式を投資対象としています。そのため世界経済の成長とともに投資信託の運用益も増えていくことが期待されます。



※日本経済新聞2024年1月16日朝刊より
日経の記事でもこの2つの投資信託は比較されています。
「米国株式(S&P500)」は、米国のトップ企業500社に投資をするものです。直近の10年の米国経済の成長は著しく、また先進国にも関わらず人口が増え続ける予測が出ていること、2050年までもGDP(経済の強さの指標)が世界2位までにとどまると予想されることから、今後も米国が成長すると考えるのならばこちらに投資しても良いでしょう。
伝説の投資家にウォーレン・バフェットという方がいらっしゃいますが、その方も、「自分が死んだら資産の9割を米国のS&P500で運用するように」と発言しています。
ただし個人的には「全世界株式」をおすすめしますし、私もNISA枠は全て「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に使うつもりでいます。
理由は二つで、
①S&P500の成長はGAFAMと呼ばれる5社がほとんどを担っていたから
S&P500からGAFAMの5社を除いたS&P495のパフォーマンスを見ると、日本のTOPIXという指数と大差が無かったというデータが存在します。



日本の経済成長があまり芳しくないことは多くの方がご存じでしょう。GAFAMが今後も成長を続けるか、GAFAMに代わる巨大企業が米国で誕生するのならばS&P500でもよいかと思いますが、個人的にはGAFAMが今までのペースで成長するのは厳しいと思うことと、米国から代わりの企業が出てくるかは分からないことから米国のみに資金を預けるのは敬遠してしまいます。
②米国の大企業自身が今後の米国株の成長に悲観的だから
米国のファンド会社のバンガード社は、今後10年の米国株のリターンは米国を除く世界株式のリターンを下回るとしています。またジェレミー・シーゲル氏やレイ・ダリオ氏のような専門家も、今後の米国の衰退を示唆しています。
直近の年では米国株S&P500のパフォーマンスが全世界株式を上回っていたことは事実ですので、過去の事例を重視して「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に投資するのも良いと思います。
ただ「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」ならば世界の経済成長をまるまる取り入れることができるので、個人的には全世界株式の方が安全かなと思っています。
余談ながら、全世界株式の投資信託も半分は米国株で運用されています。米国株が凋落した場合は比率が下がるでしょうが、直近では全世界株式もS&Pも、言うほど大差は無いのです。どちらでもよいと言った理由はここにあります。
Q4.投資信託を買ったらどうすればいいの?
→A4.当分はほっときましょう。
いや、別に投げやりになっているのではなく、中長期に資産を増やしていく場合は何もせずにほっておくのが一番です。Q3で出したような投資信託を買っていれば、ほっとけば勝手に利益を生んでくれます。
むしろ赤字が出たからといってすぐに売ってはいけません。株も投資信託も短期的には理由なく上下するものです。10年20年それ以上の未来に向けて資産を増やそうとしているのですから、短期的な赤字はどうでもいいのです。
とある運用会社の調査では、運用成績が最も良かった人は「運用していることを忘れていた人」で、二番目に良かった人は「既に亡くなっている人」だったそうです。下手に動くより、何もしない方が良いのです。
ただし、この記事で紹介したような投資信託は長期的には利益を生む可能性が高いとされていますが、100%上昇するわけではありません。逃げ道を作るようで恐縮ですが、投資である限り絶対はないのです。あくまで利益を生む可能性を高めるだけです。
しかし銀行預金に預けていても雀の涙しかお金が増えないのも事実。投資は絶対にしなければいけないものではないので、絶対に損をしたくないという方には無理に勧めはしません。
しかし10年後20年後、投資運用をした人の方が得をしていた…なんてことも多く起こっているわけですから、はじめは少ない金額から、「投資ってこんなもんなんだ」と慣れておくのも悪くないと思います。
最後に、主要なネット証券会社は投資信託の取り扱いもしています。大手ネット証券各社については別のページで紹介しているので、よろしければそちらもご参照の上、どの会社で口座を開くのかを決めていただければと思います。