新NISA(以下NISA)では、投資信託だけでなく個別株やETFにも投資することができます。今回は個別株に投資する場合を考えてみましょう。
<大前提として>
NISA枠は年360万円、生涯1,800万円までの投資枠がありますが、個別株に投資をする場合、年240万円、生涯1,200万円までしか投資をすることができません。それ以上に投資をする場合はしっかり税金を取られますのでご注意ください。
新NISAの概要については過去の記事をご覧いただければ幸いです。



<個別株に投資をする目的は?>
よく言われることですが、株は分散投資した方が安全です。
理由は一つの銘柄が下がっても、他の銘柄が上がれば損失分をカバーできるからです。
そして究極の分散投資が、投資信託のインデックスファンドです。
以前紹介した2つの投資信託もインデックスファンドに該当します。
分散投資の安全性を犠牲にしてでも個別株に投資をして、
貴方は何を得たいのか?
個別株の銘柄数は約4,000銘柄あるそうです(日本取引所より引用)。
この膨大な銘柄数の中から選択しようというのですから何かしら方針を決めた方が、自分にとってベストな銘柄を選べるかと思います。
でないと配当目的で高配当株を買ったのに、株価が上がったからあっさり売ってしまった…なんて行動をとりかねません。こういう人、日経による引用ですが結構いるようです。値上がり目的なら初めから高配当株に絞らず、取引高とかでもっと多くの銘柄を見ればいいのに…。
では個別株を選ぶ理由として、どんなものが挙げられるでしょうか。
〇個別株の成長に期待し、キャピタルゲイン(売却益)を得たい
先程分散投資の安全性について解説しましたが、これは逆に大きく儲ける
ためには機会損失にもなります。
つまり、1つの銘柄が大きく儲かっても、他が損を出した場合、損を出し
た銘柄に利益が吸い取られてしまうということです。
下の表は2百万円を投資した場合の例です。
[例1]はA商事とB建設の2銘柄に投資をした場合、[例2]はA商事1銘柄にのみ
投資をした場合です、A商事の成長率を10%、B建設の成長率を5%としま
しょう。
[例1][例2]の利益率は以下の通りです。
銘柄 | 投資額合計 | 投資額 | 成長率 | 利益 | 合計利益 | 利益率 | |
例1 | A商事 | 2,000,000 | 1,000,000 | 10.0% | 100,000 | 150,000 | 7.5% |
B建設 | 1,000,000 | 5.0% | 50,000 | ||||
例2 | A商事 | 2,000,000 | 2,000,000 | 10.0% | 200,000 | 200,000 | 10.0% |
2銘柄に投資をした場合と1銘柄に投資をした場合
A商事のみに投資をした[例2]では、2百万円を成長率10%で運用できたので20万円の利益を得、利益率は10%となりました。
一方2銘柄に投資をした[例1]では、2銘柄に分散したため、A商事には1百万円しか投資していません。B建設も利益を出していますが、成長率はA商事に及ばないため、利益は15万円、利益率は7.5%となりました。
株というのはパーセンテージで利益を出すものですから、投下する資金が多ければ多いほど、利益が大きくなるのです。
忘れてはならないのは、損失も同じく大きくなるということですね。
このように、少数の銘柄に投資をして大きな利益を得ようとするのが個別株投資の目的の一つです。
尚、今回は2銘柄を分散のように扱いましたが、別にキャピタルゲイン目的だからといって1銘柄に全集中しなければいけないわけではありません。私もキャピタルゲイン目的で2~3銘柄に多くの資金を投入したことがあります。
キャピタルゲイン狙いの投資についてはある程度の知識が必要になります。書籍やネットで学ぶのも良いですが、そのような知識を授けてくれる企業セミナーがありますので、そちらを活用した方が手っ取り早いと思われます。
〇株主優待を得たい
昔のドラえもんの映画「雲の王国」でスネ夫が言っていました。
「株式会社では、大株主が一番偉いんだ!」
…まあ、仰る通りです。その後スネ夫はジャイアンに殴られてましたが。
個別株の中には株主優待を実施している会社もあります。「日本マクドナルドHD」の株主優待で「バーガー・ドリンク・サイド」のセットの無料券をくれる、なんてのは有名ではないでしょうか。
企業から優待品が届くというのは、贈り物をもらったようで嬉しいものです。これも株主優待のメリットですね。
また優待生活で有名な桐谷広人さんのように、株主優待だけで生活している人もいます。彼の手法が真似できるかはともかく、「嫁と住宅以外は株主優待で手に入る」というのは本当かもしれません。
ちなみに株主優待を得るには大株主になる必要は全くありません。多くの企業は1単元である100株で株主優待をくれます。中にはたった1株持っているだけで株主優待をくれる企業も。ここまでくるとなんだか申し訳なく思えてきます。



〇高配当株を保有し、インカムゲイン(配当金)を得たい
私が狙っているのは主にこのパターンです。企業の配当金は、株を持っているだけで入ってくる不労所得です。給与所得とは別の収入源を、株を持っているだけで得ることができます。
私は年に12万円(税後)配当金が得られるように株を取得・保有しています。月に1万円、半年に6万円のお小遣いを得るようなもので、そのお金で旅行に行ったりスーツを買ったりしています。
尚、全ての企業が配当金を出している訳ではありません。成長途中の比較的小規模な企業や赤字の企業は配当金を出していない場合もあります。
また配当金の出し方も、半年に1回出してくれる企業が多いですが、中には年に1回だけしか出さない企業もあります。
〇その企業のファンで、応援したいから株を得たい
これも立派な動機だと思います。
日本が世界に誇る素材産業の企業を応援したい。
世の中の課題を解決する日本独特の業態である総合商社を誇りに思い応援したい。
成長途中の企業を融資で支援する銀行を応援したい。
面接で俺を落とした企業を、腹いせのために株で支配してやりたい。
これらも個別株を保有する楽しみだと思います。
個別株は投資信託に比べて値動きが大きいことから危ないと思われがちですが、個別株独特のメリットもあります。上に書いた4つのメリット全てに言えることですが、個別株ってやっていると楽しいです。企業や世の中の動向が気になるようになり、ニュースや新聞を読むモチベーションにも繋がります。
個別株に興味はあるけどちょっと怖いという方は、端株投資で1株だけ買ってみたり、株価の低い株を1単元100株買ってみたりしてください。損をするかもしれませんが、物は試しです。
ちなみに株価が安い大手企業には以下の様なものがあります。
・9432 NTT(日本電信電話) 約180円 1単元約1万8000円
・4005 住友化学 約350円 1単元約3万5000円
・1821 三井住友建設 約400円 1単元約4万円
・9831 ヤマダHD 約450円 1単元約4万5000円
・5020 ENEOS HD 約600円 1単元約6万円
ただし、聞いたことのないような銘柄で異常に安い株価をしている場合は業績が悪いから安い、上場廃止候補になっているかもしれませんのでご注意を。上に挙げた5銘柄はいずれも大丈夫だと思いますけどね。
主要なネット証券については別記事を書いておりますので、よろしければそちらをご覧ください。SBI証券や楽天証券が人気ですが、人によってはそれ以外の証券会社の方がお得になる場合もありますのでご参照ください。


